プロローグ
第4回ウラジオストク東方経済フォーラム開催
ロシア極東のウラジオストクにて2018年9月11~13日、第4回東方経済フォーラムが開催されました。この東方経済フォーラムは、サンクトペテルブルク経済フォーラムに倣い、2015年から開催され、今年で4回目を迎えました。
今回の東方経済フォーラムにおいて、なぜ日露首脳会談が会期中ではなく開催前日の10日に設定されたのか、筆者は不思議に感じております。
これはいわば、「露日首脳会談はメーンエベントの枠外」とのロシア側シグナルではないでしょうか。
ロシアのV.プーチン大統領は翌11日、ウラジオストク近郊ボリショイ・カーメンのズベズダ造船所を訪問しました。しかし10日に造船所を訪問し、11日に露日首脳会談設定もできたはずです。
プーチン大統領は中国の習近平国家主席と11日に4時間以上会談していますので、中国重視の結果、日本との会談は会期前日に設定されたのが真相ではないかと推測します。
本稿では米の対露経済制裁措置強化政策が露中エネルギー協力関係にどのような影響を与えているのか、第4回フォーラムにおいて露中間で何が合意されたのか概観したいと思います。
油価上昇/ロシアゲートの本質?
米国D.トランプ大統領の対露経済制裁措置強化法案が欧米間の亀裂を招き、露中エネルギー協力関係を深化させています。
トランプ大統領の対イラン経済制裁緩和措置停止方針が中東情勢の不安定化に拍車をかけ、油価上昇の元凶となり、結果としてロシア経済にとり干天の慈雨になっている現状こそ、実は米トランプ大統領のロシアゲートの本質かもしれません。
プーチン大統領は「米国のイラン制裁が油価上昇の元凶」との趣旨を述べていますが、まさに正鵠を射た認識です。
油価は上昇していますが需給は見合っており、現行の原油生産量1億bd(バレル/日量)は需要以上の供給量になっています。