Nature Boy エラ・フィッツジェラルド

ある少年がいました。とても不思議な魅力を持った少年でした
少し恥ずかしがり屋で悲しい目をした、けれど、たいそう賢い少年でした

エラ&パス…アゲイン
エラ・フィッツジェラルド&ジョー・パス

 これは何かの童話のくだりではない。1947(昭和22)年にアメリカの作詞作曲家、エデン・アーベが生み出した「Nature Boy」の歌詞の冒頭部だ。印象派の絵画のような美しいメロディとあいまって、聴く人の中に眠る童心をやさしく呼び起こしてくれる。

ある日、不思議なことが起こりました。私の人生に彼があらわれたのです
私たちはいろいろな話をしました。愚か者のことや、偉い人たちのこと・・・

 作者エデンは、自然への回帰を提唱し放浪の旅を続けた人物。その生き様から、1960年代後半に起った社会現象、ヒッピーの先駆者とも言われている。歌詞の最後が実に深い。

そして彼は、私にこう言い残しました
「まずは自分から愛を与えることさ。そうすれば愛はかえってくる
それが人間が学ぶべき最も大切なことなんだ」と・・・

 真理をついたエデンの歌詞はある種バイブルだ。そしてこの曲はジャズボーカルの巨匠エラ・フィッツジェラルドElla Fitzgeraldの、還暦を目前にしたときの録音で味わってほしい。静かで落ち着いた歌声は、母親が寝る前に読み聞かせをしてくれた童話のように心地が良い。

※「Nature Boy」全訳はこちら

Smile ナット・キング・コール

 ジャズスタンダードは日本のテレビCMでよく使用される。メロディの爽やかさと題名から連想できる明るさが選曲の鍵になるのだろう。ここで紹介する「Smile」もまたテレビでよく耳にする一曲だが、この歌に関して言えばその醍醐味は歌詞にある。