おそらく設問者の考えていた、鉄より重い元素の合成過程は、次のようなものでしょう。

 超新星爆発は、質量の大きな恒星の最期の大爆発です。超新星爆発には、恒星の中心部が重力崩壊を起こして中性子星に変化する際、外層部が宇宙空間に吹き飛ばされる「II型超新星」や、炭素の核融合が暴走して恒星を粉々にする「Ia型超新星」など、いくつかパターンがあります。いずれにせよ、1個の恒星が膨大なエネルギーを放出して消滅します。恒星を成していた物質はばらばらの原子に分解され、原子核もぶつかり合ってぶっ壊れ、宇宙空間に撒き散らされます。

 この時、原子核はぶつかり合ってぶっ壊れるだけでなく、ある割合でくっつき合います。この宇宙最大規模の地獄の業火の中でなら、恒星内部の「自然な」核融合では合成できない元素もむりやり合成されるのです。やった、これで金も銀もウランもプラチナもできちゃって周期表が完成だ! 正解は(2)! センター試験突破!!

・・・というのが、2017年8月17日12時41分04秒(協定世界時)までは、教科書にも載っている定説でした。

中性子星の衝突・合体で元素ができる?

 しかし、超新星爆発による元素合成説に対して、別の説を提案する人もいました。そのひとつは、中性子星衝突・合体による元素合成です。(他にも元素合成過程はいろいろありますが、ここでは全部紹介できません。)

 中性子星とは、質量が私達の太陽の1.4倍程度もあるのに、半径が10km程しかない、極めて高密度の異常な天体です。ほぼ中性子からできているので、「巨大な原子核」と形容する人もいます。中性子星物質は周期表には納まらないのですが、これも「通常の物質」の一種です。中性子星は、II型超新星爆発によって誕生します。

 広い宇宙には、このような異常な天体が2個、互いを周回しているものがあります。そういう「ダブル中性子星連星系(正式名称ではありません)」は、数億年かけて徐々に軌道を縮め、接近し、しまいには衝突・合体すると予想されます。合体した後は高い確率で1個のブラックホールになると思われます。

 そしてそのような衝突・合体の際には、あたりに飛び散った中性子星物質が大量の重元素を作り、宇宙空間を重元素で一杯にするだろうという計算があります。ダブル中性子星連星系の衝突・合体は、超新星爆発よりもずっと稀な出来事なのですが、1回の衝突・合体で作られる重元素が多いため、元素によっては超新星爆発よりも貢献が大きいだろうというのです。

 ということは、地面に埋まる金銀ウランにプラチナは、天の川銀河(銀河系)内で過去に起きたそういう衝突・合体で合成されたものかもしれません。