ネットバンクやモバイルバンクを利用すると、振込手数料はさらに安くなります。具体的には、ネットバンク経由なら5000元(約8.7万円)以下、モバイルバンク経由なら5万元以下は、振込手数料がタダになります。

 このほか顧客への対応も、以前より格段に良くなっています。かつて中国の銀行は親方共産党とでもいう体質があり、行員の態度も非常に尊大で居丈高でした。しかし近年は、アリペイに代表されるネット系金融企業の躍進に押されている焦りもあってか、サービス対応や態度が劇的に改善されてきています(もっとも、窓口対応が改善されても、モバイルバンクが便利過ぎて窓口に足を運ぶ必要性がほとんどなくなってきているのですが)。

【賃貸不動産】礼金がなく、家具・家電はエコに使い回し

 次は賃貸不動産です。日本の賃貸不動産契約において、礼金の取り扱いはしばしば議論や裁判の的となります。しかし、中国においてはそもそも礼金という概念がありません。住宅などの賃貸契約の締結時に支払う初期費用は敷金と初月家賃、そして不動産仲介を通していたら家賃1カ月分の仲介手数料くらいです。

 敷金も家賃1カ月分が相場です。日本のように「安全安心保障サービス」などといったよく分からないオプションがつけられ、サービス料金を不動産会社から請求されることもありません。退去時も清掃費や解約手数料などが追加請求されることはなく、契約通りのきちんとした退去であれば敷金も満額返ってくるのが普通です。

 このように“不合理”な請求がないことに加え、筆者が中国の賃貸不動産業界のサービス(商習慣)が日本より優れていると思う点は、家具・家電の取り扱いについてです。

 基本的に中国では、賃貸住宅の家具・家電は大家が用意すべきものとされており、入居時の段階で椅子やテーブル、テレビや冷蔵庫などがあらかじめ備え付けられています。こうした備え付けの家具・家電は、入居者の故意または不注意による破壊でなければ、故障時には大家が買い換えてくれます。また古くなった家具・家電も、交渉して新品に買い替えてもらうことが一般的です。