日本よ、“食料を失う日”のために備えよ

マッキンゼー「食料争奪時代」報告書を読む(後篇)

2017.12.15(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

「食料安全保障は総合安全保障の一部」という認識を

 歴史的背景も人口規模も、日本はスイスやイスラエルとは異なる。すべてをモデルにするのは無理があろう。とはいえ、他国の食料安全保障システムの事例を学びつつ、日本も「食料争奪」時代に備えて「針路」をもたなければならない。

 報告書では次の5点を、日本の食料安全保障の針路として示している。

<1.食料安全保障は総合安全保障の一部である、という共通認識に基づいてトップダウンの戦略が描かれ、同時に、それを担う人材育成への取り組みも行われている>

<2.国内農業だけでなく、輸入戦略も総合的に検討されている>

<3.情報収集や外部知見の活用により客観的な見立てに基づく対策が立てられている>

<4.日本の強みを生かした相互依存関係が構築され、リスクがコントロールされている>

<5.民間企業は事業の延長で食料安全保障に貢献しており、国民も能動的に食料安全保障に取り組んでいる>

「とりわけ1番目の針路にある『食料安全保障は総合安全保障の一部』『トップダウン』という考え方が重要。戦略のグランドデザインが築かれない限り、他の仕組みは機能しづらいからです」

 これら針路は、日本の食料安全保障の未成熟な点をあぶり出しているともいえよう。「ここまで行かなければいけないというマインドセットを持つことが大切です」と山田氏は加える。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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