肥満防止のために夜食より気にすべきことがある

夜食は本当に太りやすいのか?(後編)

2017.09.22(Fri) 大平 万里
筆者プロフィール&コラム概要
中性脂肪の蓄積をめぐる体のメカニズムが解明されてきた。

「摂取カロリー > 消費カロリー」の結果が肥満である。そして、この消費カロリーのうち6割を占めるのが、生命維持のための「基礎代謝」だ。この基礎代謝を意図的に増減させることは難しく、しかも個人差がある。そして、基礎代謝による消費カロリーは一日の時間帯によって変動しているのだ。これらのことを前編(「税金、食費、交際費? カロリーが消費される仕組み」)で述べた。

 では、この基礎代謝の変動と夜食とはどのような関係があるのだろうか。本当に夜食は太りやすいのだろうか。

 仕事でも遊びでもメリハリをつけるのは大事である。基礎代謝もまた24時間周期で強弱のリズムを作っている。身体は機械ではないので、同じような調子で昼夜問わず働き続けるようにはできておらず、効率的に身体活動を維持できるような仕組みが備わっているのだ。

景気がよいときは浪費、悪くなると貯蓄

 具体的には、昼間の活動時には中性脂肪を利用する方向(ATPの合成・消費)にシフトし、その結果として基礎代謝も高くなる。現代生活を送る私たちは「食事・運動」を自分の意志と経済状況で決めているつもりになっているが、本来は「自然界から餌を獲得する」という生存に必須な行動を確実にするために、基礎代謝も臨戦態勢にする必要があるのだ。

 逆に、夜間の休息(睡眠)時には中性脂肪を消費しない方向へシフトし、合成・消費されるATPは減少し、基礎代謝も低くなる。点滴でもしていない限り、眠っている間に新たなエネルギー源は入ってこないので、昼間の活動期に備えて中性脂肪をなるべく使わないようにするのである。

 こうした基礎代謝の周期性は、タイムスパンは違うものの、景気がよいときは浪費(ATPを合成・消費)しがちだが、景気が悪くなると貯蓄(中性脂肪を蓄積)するのと似ている。そして「夜食べると太る」と言われ続ける一般的な根拠は、「不景気で財布の紐が固いときには収入が増えても貯蓄に回す」のと同じで、「基礎代謝が低いときに外からエネルギー源が入れば、中性脂肪蓄積の方向へ代謝が進む」ということだろう。

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1964年東京生まれ。生物・化学系ライター。熊本大学理学部生物学科卒業。北海道大学理学研究科博士課程修了。博士(理学)。旧工業技術院(現・産総研)、秋田県立農業短大附属属研究所などの流動研究員、高校教諭等を経て現在に至る。最近はその辺に転がる岩石の来歴が気になってしょうがない。


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