肥満防止のために夜食より気にすべきことがある

夜食は本当に太りやすいのか?(後編)

2017.09.22(Fri) 大平 万里
筆者プロフィール&コラム概要

BMAL1だけが肥満の要因ではない

 しかし、ややこしいことに、実は、BMAL1の遺伝子を欠損したマウスでは、中性脂肪が分解しにくくなるという研究結果もあるのだ。

 BMAL1がなくなれば、中性脂肪の蓄積は促進されなくなるわけだから、中性脂肪は減っていくはずだと思いたくなる。しかし結果は逆なのである。中性脂肪は分解されず、さらには脂肪組織へも蓄積せず、代わりに血中での濃度が増大する。その結果、肝臓などの組織へ中性脂肪が蓄積し、皮脂分泌も増えることになる。

 このことから言えるのは、BMAL1は中性脂肪の代謝に関与していることは間違いないものの、BMAL1だけが肥満の要因ではないということである。つまりは、ファイナンシャルプランナーの助言だけで財形貯蓄が確実にできるとは限らないということだ。

「夜食は太る」だけでは決着しない

 さらには、肝臓にある時計遺伝子は、食事の刺激によってもそのリズムが変わる場合がある。つまり、24時間周期を同期(シンクロ)させる要因は光だけではないということである。ということは「夜食べれば・・・」といったとき、そこには「その日において何回目の食事なのか」「前の食事からどれだけの間隔が空いているのか」「何をどれだけの量食べるのか」などのさまざまな要因が、新たに交錯することになる。

 つまり、関係する要因が多すぎて「夜食は太る」の一言だけでは、本当に太るかについて、何とも判断ができないのである。同じ理由で「夜食は太らない」とも言い切れない。すっきりしない結論であるが、現状ではそうとしか言えない。

夜食を気にするより、規則正しい生活を

 しかし、ひとつだけはっきりしていることがある。生活が不規則で睡眠不足の(生体リズムが乱れている)状態が続くと、明らかに肥満になりやすいということだ。不規則な生活が、肥満のみならず、成人病なども増加させる傾向があるのは統計的に見てほぼ確実である。

 すなわち、一日あたりの運動量・食事が同じであれば、夜食うんぬん以前に食事の時間帯や回数を定め、睡眠不足にならないように規則正しい生活を送ることが、肥満防止には重要であるということである。

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1964年東京生まれ。生物・化学系ライター。熊本大学理学部生物学科卒業。北海道大学理学研究科博士課程修了。博士(理学)。旧工業技術院(現・産総研)、秋田県立農業短大附属属研究所などの流動研究員、高校教諭等を経て現在に至る。最近はその辺に転がる岩石の来歴が気になってしょうがない。


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