本連載では働き方改革を進めるポイントについて解説している。第8回は「働く場所・環境」がテーマだ。

「いつ、どこで働くのか?」──働く場所“ワークスペース”は“私たちの“働き方”の大きな要素の1つである。

 昨今のワークスペースの対象は会社・オフィスを超え、自宅や外で働くことも前提としている。おのずと「どこで働くのか?」は「誰と、どうやって働くか?」も規定する。

 新しいワークスペースの検討目的は、働く環境や制度という前提条件、我々の既存の行動パターンを大きく変えることによって、「場所や時間による制約をなくす」「コミュニケーション頻度や水準を変える」ことだと言ってよい。

◎連載「働き方改革を進めるポイント」のバックナンバー
(第1回)会社が働き方を変える前に必ずやっておくべきこと
(第2回)なぜ社員は帰れないのか?要因ごとに残業を削減する
(第3回)同時に実現すべき女性活躍と働き方改革
(第4回)働き方改革の軸は「目指す人材像と働き方像」
(第5回)社員の「働き方」を変える制度とルールをどう作るか
(第6回)業務・マネジメントの見直しで生産性を向上させる
(第7回)働き方改革の要諦は管理職の意識と行動変革!

場所に縛られない働き方の実現

 時間の制約、場所の制約をなくすための直行直帰制度、フレックスタイム制度などは、以前から取り組んでいる企業が多い。

 加えて、昨今の女性活躍推進を背景に、子育てや親の介護のために、働く時間が制約を受ける社員に対応する人事制度や就業規則の改定が盛んだ。短時間勤務制度やテレワーク・在宅勤務制度などがその典型である。

 それらの制度を支える重要な要素となるのが、ICTツール・ソフトウエアである。

 具体的には、従業員にモバイルパソコンやタブレット端末を貸与してテレワークの環境を実現する。その際は、基幹系・業務支援システムのモバイル対応、機能拡張、セキュリティシステムの強化なども同時に実施することになる。

 最近は、データ通信高速化を背景にしたシンクライアント化、VPN・暗号化、あるいは端末紛失時のデータ消去など、以前にも増してセキュリティの仕掛け・機能が高度化しており、テレワークの敷居は下がっている。