歴史的減産合意でも産油国を待ち受ける「茨の道」

ベネズエラの「メルトダウン」は起きてしまうのか

2016.12.16(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48670
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 12月14日の米FRBの利上げも原油価格の下押し圧力になることは確実だ(14日の原油価格はWTIは50ドル台、ブレントは53ドル台に急落した)。産油国が望む価格シナリオ(1バレル=60~70ドル台)は「茨の道」が待っていると言わざるをえない。

ベネズエラが中国に見捨てられる日

 以下では、個別の産油国の事情を見ていこう。

 筆者が最も注目しているのはベネズエラである。ベネズエラの原油生産を担う「ベネズエラ国営石油公社」(PDVSA)が、長らく苦境に陥っているからだ。

 ベネズエラは過去30年間に海外からの借り入れでデフォルトや返済繰り延べを4回重ねてきた。

 PDVSAは2007年から中国石油天然気集団公司(CNPC)から融資を受けるようになり、その額は既に650億ドル以上になっている。契約は「借金の返済を原油で支払う」ということになっており、原油価格が1バレル=100ドルの時に中国に支払う原油は日量23万バレルで済んでいた。しかし原油価格の急落後、PDVSAは日量55万バレルの原油を中国に輸出する羽目になってしまった。2015年は原油輸出量の45%が中国への債務返済に回り、同国の原油収入は激減した。

 それを受けてベネズエラ政府は2016年6月に、中国に対して契約の見直しを要求した。その内容は「原油価格が1バレル=50ドルを下回る限り、1年間にわたり借入金の元本返済を猶予し、利子のみの支払いとする」というものだった。これにより、30億ドルのキャッシュフロー改善を実現する目論見だった。

 しかし、中国側はこの要求を拒否する。同社の利息と元本の支払が年末に滞ることは確実となった。そこで、PDVSAは2016年11月に中国側からつなぎ融資(22億ドル)を受けてデフォルトを回避した。だが、その追加融資により、中国への原油供給は日量80万バレルにまで達してしまったとされる。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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