陸上自衛隊「富士総合火力演習」の予行実施

予備自衛官を災害現場や「実戦」に向かわせて大丈夫なのか。静岡県御殿場市にある東富士演習場で実施された陸上自衛隊の「富士総合火力演習」予行の様子。(2014年8月19日撮影、資料写真)。(c)AFP/TOSHIFUMI KITAMURA〔AFPBB News

 みなさんは「予備自衛官制度」をご存じでしょうか。陸上自衛隊は、予備自衛官制度を次のように説明しています。「普段は社会人や学生としてそれぞれの職業に従事しながら、一方では自衛官として必要とされる練度を維持するために訓練に応じるものです。そして、予備自衛官と即応予備自衛官は、防衛招集や災害招集などに応じて出頭し、自衛官として活動します」(陸上自衛隊ホームページより)

 最近、予備自衛官制度を充実させるための施策が矢継ぎ早に実施されています。

 例えば7月から、予備自衛官を雇用した建設会社を自衛隊関連の公共事業入札で厚遇するという措置が始まりました。また、予備自衛官雇用による法人税減税も今年度予算に盛り込まれています。前者は、ほとんど天下りの制度化と言うべきであり、防衛省の必死さが感じられます。

 背景には、東日本大震災という国難に際しても、予備自衛官制度がほとんど機能せず、年間80億円の予算に見合った効果が出ていないことがあります。しかも、予備自衛官の定員は常に7割にも満たず、年々減少傾向にあります。

 2011年の東日本大震災では、予備自衛官に対する初の招集命令が発令されました。しかし、打診に対して出頭可能と回答した予備自衛官は4497人とたった17%程度でした。しかも、実際に出頭できたのは103人と全体のわずか0.4%でした。これを受けて、財務省が制度見直しを防衛省に勧告し、対処しなければと慌てている構図なのです。

 では、どのようにすべきなのでしょうか。