NATOの規定による集団的自衛権の行使であるアフガニスタン戦争(写真:カナダ国防省)

 2013年10月に日米の“2+2”外相・防衛相会談において、国際的な軍事情勢の変化、とりわけ東アジア軍事情勢の激変に対応するため、2014年12月末までには「日米防衛協力指針」(以下「ガイドライン」)を改定するという合意がなされた。安倍首相はその日程に合わせる形で、2014年7月、日本の国防方針を集団的自衛権行使容認へと大転換する英断を下したのであった。

日米ガイドライン改訂に利した総選挙

 しかしながら、「集団的自衛権行使を容認すべき」とする人々の間にも、国際社会から大きくかけ離れた“日本バージョン集団的自衛権”と言わざるを得ない考え方がはびこっており、日本の集団的自衛権行使を期待するアメリカ側との間に溝が生じかねない状況であった。

 加えて、安倍政権が集団的自衛権行使容認へ舵を切ったとはいえ、多岐にわたる各種法令の整備を進めない限り、実際に集団的自衛権を行使できる状況からは程遠かった。安倍首相の真意はともかく、行使容認の方針を打ち出したものの、それ以降、具体的な関連法令の整備が進まなかったのである。

 せっかく集団的自衛権の行使を認め、武器輸出三原則も緩和したにもかかわらず、そのような国防方針の大前進が、法令の裏付けを伴った目に見えた形でガイドラインに反映されないと、再びガイドライン改訂を実施しなければならなくなる。そのため米軍関係戦略家たちの間では「二度手間になってしまうのではないか」と危惧する声もあった。