ホノルル・ヒッカム空軍基地に到着した遺骨(写真:JPAC)

 日本では、昭和天皇の玉音放送により「大東亜戦争終結ノ詔書」が放送された8月15日をもって降伏受諾の日、すなわち終戦の日ということになっている。ただし国際法的には、停戦条約や降伏文書に調印がなされた段階で、勝利側にとっても敗北側にとっても終戦と見なされている。そこで、アメリカ、イギリス、ロシアなど対日交戦国の多くでは、日本政府代表団が東京湾上のアメリカ海軍戦艦ミズーリにおいて降伏文書に調印した9月2日が対日戦争終戦の日とされている。

 いずれにせよ、戦勝国側にとっても敗戦国側にとっても、敗北側が降伏したり滅亡した(この場合は降伏文書に調印できないが)段階で、国家レベルでの終戦が訪れることになる。

 しかしながら、戦争に参加して戦場や後方地域などで命を散らした人たちにとって、また故郷に残された遺族にとっては、戦死者の亡骸や遺骨が家族の元に帰還した時こそが、個人的レベルにおける真の終戦と考えることができる。

遺骨を遺族の元に帰す専門組織

 アメリカには英霊が靖国神社や日本各地の護国神社で祀られるといったような慣習が存在しない。アーリントン国立墓地の無名戦士の墓や全米各地にある戦争記念碑などに、身元が判明していない遺骨や遺品を収めたり、戦死者の名簿を記して、公的な追悼としているものの、あくまでそれは故郷の遺族の元に帰還させる1つのステップに過ぎない。