食品への機能性表示が解禁されてから2カ月が経過した。消費者庁による5月22日時点での最新情報では、機能性表示食品として届出られ受理された製品は26製品になった。しかし、中には「安全性が確認できない」と指摘された成分を含むものもある。山口俊一消費者相は「一般論として安全上問題があるということになった場合には、機能性表示食品から外さざるを得ない」と述べている。
解禁直後の4月3日に「難しすぎる!機能性表示食品の課題多きスタート」という記事を発信したが、それから2カ月間の状況を概観し、課題について見てみたい。
受理の大半は大企業、予想以上に高かったハードル
消費者庁ホームページによると、5月22日の時点で届出が受理されたのは26件(下表)。
「内臓脂肪を減らす」「脂肪の吸収を抑える」といった生活習慣病対策や、「便秘の改善」などの機能をうたった商品が目立つ。
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一方、「肌の潤い」「見る力の維持をサポート」「膝関節が気になる方に」などと、特定保健用食品(トクホ)ではなかった機能を表示している商品もある。例えば「目」や「膝関節」といった身体部位表示はトクホにはなかった。これまでトクホで認められてきたのは、主に「血圧」「血中コレステロール」「血糖値」「体脂肪」「骨」「歯」「お腹の調子(便秘)」などに関する表示だった。
受理された26件の内容を見ると、キユーピーやキリンビバレッジなど大企業による届出の受理が目立つ。6月1日時点では、生鮮食品の生産者からの届出は受理されていない。機能性表示制度が導入されることで「トクホより簡単かつ費用負担が少ないため、中小企業や生鮮食品の生産者も容易に参入できる」といわれていたが、実際には中小企業や生産者にはハードルが高いのかもしれない。これは制度解禁直後の4月16日時点での話だが、100件以上の届出に対して受理されたのは8件と消費者庁は発表していた。大半に記載不備があったという。現在も受理された食品が大企業のもので占めていることからすると、中小企業や生産者が参入するのは相当に厳しそうだ。
届出には、科学的根拠に関する情報、安全性の評価、製造・品質の管理に関する情報、原材料の情報など、事業者の届出に必要な添付資料だけを見ても32もある。事業者にとっては所定の資料を揃えるだけでも一苦労だ。今後、中小企業や生鮮食品の生産者からの届出が受理される可能性もあるので、動向を待ちたい。