「怪しい」健康食品がますます増える?
消費者保護と逆行する機能表示広告の緩和

2013.08.09(Fri) 白田 茜
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 「お腹の調子を整える」「コレステロールの吸収を抑えます」。食品へのこのような機能表示は、「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」のみに認められてきた。だが、それ以外の健康食品でも効果を暗に示唆するような広告宣伝があふれている実態がある。

 このような状況はもちろん放置されるべきではない。しかし、逆に火に油を注ぎかねない事態が起きるかもしれない。安倍政権は規制改革会議で機能表示の規制緩和を強く要請。2年後をめどにトクホや栄養機能食品以外の食品への機能表示を解禁する方針だというのだ。

 トクホや栄養機能食品以外にも機能表示を認めることには懸念の声も大きい。「健康のために」とサプリメントを飲んだ人が重い病気になったり、亡くなったりする例が後を絶たない。リスクが十分に理解されていないという問題もある。

 機能表示が解禁された場合の影響を、他国の制度も見ながら考えてみたい。

健康食品は医薬品とは異なる

 この記事で言う「健康食品」はトクホと栄養機能食品の保健機能食品、それに健康に良いとされる一般の食品のことを指す。食品は、医薬品と区別するために機能表示が規制されている。機能表示が認められているのはトクホと栄養機能食品のみだ。

 トクホでは、機能表示に消費者庁の許可が要るが、栄養機能食品ではビタミン12種類、ミネラル5種類に限って許可なしで「カルシウムは歯や骨の形成に必要な栄養素です」などと表示できる。

健康食品の定義
(参考:消費者庁「健康食品の安全性確保に関する検討会報告書」を参考に筆者作成)
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異例のスピードで解禁の方針が決定

 今回、保健機能食品以外の食品での表示の解禁を議論しているのは、内閣総理大臣の諮問機関「規制改革会議」。2月に事務局から健康食品の表示について提案が出され、健康・医療ワーキンググループ(WG)で詳細な検討を行うことになった。

 第2回目WGの公開資料を見ると、「保健機能を表示できる特定保健用食品は膨大な開発コストが必要であり、運用上、明らかな食品形状を原則としているため、産業界の開発意欲は低下し、市場は停滞している」とある。解禁は市場を活性化させるというのだ。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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