機能性表示食品に早くも安全性の問題が浮上

突きつけられる制度の矛盾、国は制度形骸化の歯止めを

2015.06.05(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

まだまだ分かりにくい「一般向け」説明

 全国消費者団体連絡会は2015年5月26日、公的機関で安全性を疑問視された製品や成分については届出を受理しないことなどを求める意見書を、消費者庁長官らに提出した。また、同連絡会が事業者団体などへの要望として発信した「機能性表示食品に関する意見」によると、「機能性の根拠が非常に弱いものが目立つ」という。

 臨床試験を行う場合、臨床研究計画の概要を研究開始前に第三者機関に登録し、インターネットで公開する「UMIN(大学病院医療情報ネットワーク)臨床試験登録システム」を経る必要がある。また、臨床試験の結果は、「CONSORT声明」とよばれる国際的にコンセンサスの得られた指針などに準拠した形式で、専門家が水準に達したと認める「査読付き論文」で報告することとされていた。

 ただし、機能性表示食品制度の施行後1年間は、企業の準備期間としてCONSART声明に準拠しなくてもよく、また、UMIN臨床試験登録システムへの事前登録も省略されている。そのためか、「臨床試験を機能性の根拠とする製品に問題のあるものが多い」という。

 受理された機能性表示食品の情報は公表され、事後的な監視の仕組みが働くと消費者庁は説明している。公表された情報を見て「消費者が自主的かつ合理的に商品を選択することができる」という。

 たしかに、公開された情報には有識者向けのほかに「一般向け」の情報がある。しかし、「無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験」など、専門用語が説明もなくそのまま書かれているものもあり、一般人が内容を理解するのはかなり難しい内容になっている。また、省略しすぎて重要な情報が欠けてしまっている例も散見されているという。

 消費者は事業者から一般向けに公開された情報を見て判断するほかないので、科学的根拠について正確な情報をより分かりやすく伝えるよう工夫が求められる。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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