「酵素ジュースできれいになれる」は本当か?

酵素と生食の真相を追う(前篇)

2013.06.21(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 「酵素」を生のジュースや食材として体に取り込もうとする健康法が流行っているという。

 アマゾンで「酵素」と検索してみると、液体の「酵素液」やカプセルの「生酵素」といった食品が並ぶ。また「酵素たっぷりで『やせ体質』」や「酵素エキスできれいに」といった謳い文句の本が多く出ていることも分かる。

 「酵素」と聞くと、「酵素の力」や「酵素パワー」といった効き目のありそうなイメージをなんとなく思い浮かべる人もいるだろう。体にとって大切なものなのかもしれないな、と。

 しかし、その酵素を体に取り込むことに、本当はどのような意味があるのだろうか。宣伝するほどの効き目があるなら、なぜ薬でなくて食べものなのか。

 さらに、加熱で失われがちな酵素などの成分を体に取り込むための方法として「生食」を実践している人もいるという。生で食材を食べることには、どのような意味があるのだろうか。

 このような、酵素や生食に関する疑問を、愛知学院大学心身科学部教授の大澤俊彦氏に投げかけてみた。大澤氏は、食品と生命機能の関わりを研究テーマとしている。機能性食品の専門家の目に、酵素摂取や生食はどう映るのだろうか。

 前篇では、そもそも酵素とはどういう物質であるのかを解説してもらう。その上で、人が酵素を取り込むことに意味があるのかを聞いていく。後篇では、食べものを生で食べることと加熱して食べることの違いなどを聞いてみることにしたい。

人は酵素なしには生きていけない

──そもそも、「酵素」とはどのような物質でしょうか?

大澤俊彦教授(以下、敬称略) 酵素はタンパク質です。植物、動物、微生物など、どの生物の体の中にも酵素があります。酵素は、自分自身は変化せずにAという物質をBという物質に変える、触媒の働きを持ちます。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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