機能性表示食品に早くも安全性の問題が浮上

突きつけられる制度の矛盾、国は制度形骸化の歯止めを

2015.06.05(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

トクホはNGなのに、機能性表示食品ならOK?

 安全性や機能を国が審査する許可制のトクホと違い、機能性表示食品は企業責任で機能性と安全性を評価し、所定の書類を揃えて消費者庁に届出ればよい。 

 しかし、トクホで「安全性が確認されていない」と指摘された成分が含まれている商品もあり、早くも安全性に疑問の声が上がっている。

 問題視されているのは、健康食品メーカーのリコムのサプリメント「蹴脂粒(しゅうしりゅう)」だ。エノキタケ抽出物を含む同製品は消費者庁に機能性表示を受理され「体脂肪(内臓脂肪)を減少させる働きがある」としている。しかし、トクホの安全性を審査する食品安全委員会は、蹴脂粒と同じ成分を含んだ同社の「蹴脂茶(しゅうしちゃ)」を「安全性を確認できず、評価できない」と評価している。トクホで安全性が認められなかった成分が、機能性があるとして表示されることになる。

 今回、トクホの審査過程で「安全性が確認できない」と指摘された成分を含む商品が、機能性表示食品として受理されたことについて、消費者相は「一般論として安全上問題があるということになった場合には機能性表示食品から外さざるをえない」と述べた。

「蹴脂茶」のときには、食品安全委員会は、成分が脂肪細胞に作用する点を問題視した。評価書では「多岐にわたる臓器に影響を及ぼす可能性は否定できない」と指摘している。また、「マウスを用いた90日間反復強制経口投与試験については、飼育環境が不適切であった可能性を否定できなかった」と述べている。

 一方で、機能性表示食品「蹴脂粒」の届出にもこのマウスの調査結果が用いられている。もし、トクホでの審査でひっかかった「蹴脂茶」の一件がなければ、「蹴脂粒」の安全性について疑問が呈されることはなかったかもしれない。果たして食品安全委員会と同じようなレベルで消費者が判断できるのか、疑問が残る。

 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」によると、「安全性及び機能性の科学的根拠について新たな知見が得られ、疑義が生じた場合」は、事業者は消費者庁に撤回届出書を提出するとしている。つまり、安全性、機能性に科学的根拠がないことが分かった場合、機能性表示食品として販売してはならず、届出を撤回させられるということだ。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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