「裏ごし」が面倒だなんて誰が言った?

変わるキッチン(第11回)~こす

2015.03.27(Fri) 澁川 祐子
筆者プロフィール&コラム概要
幅広い「こす」という動作。味噌汁づくりでは味噌をこすことも

 和え物やポタージュ、マッシュポテト。レシピに「裏ごし」という文字を見つけるとちょっと身構えてしまう。裏ごしは、なかなか面倒だからだ。

 そもそも、こし器を持っていない。そこで、ステンレスのストレーナー(取っ手つきのざる)と木べらで格闘することになるのだが、金網にカスがこびりつくわ、周囲に汁気が飛び散るわ。片付けがひと苦労である。

 しかも、どれだけなめらかに仕上げようとも、口に入ってしまえばみな一緒という気がどこかにある。「潰す」や「する」なら、網状の道具はいらない。だから、ふだんはほどほどに潰したりすったりでごまかして、よっぽど心と時間に余裕があるときしか、裏ごしレシピには手を出さないようにしている。

 だが、「裏」の一字がなくなると、途端にハードルが低くなる。

 茶こしを使ってお茶を抽出したり、ゆでた材料をざるで水切りしたりするのも「こす」の一種だ。それなら、ふだんやっている。

「裏」がつくか、つかないか。私にとってはかなり隔たりのある、この一字の違いに注目しながら「こす」という調理法を考えてみたい。

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1974年、神奈川県生まれ。東京都立大学人文学部を卒業後、フリーのライターとして食や工芸・デザインを中心に、読むこと、食べること、暮らすことをテーマとしたインタビューやルポ、書評を執筆。『森正洋の言葉。デザインの言葉。』(ナガオカケンメイ監修、美術出版社)、『最高に美しいうつわ』(SML監修、エクスナレッジ)の取材構成ほか、近著に当連載をまとめた『ニッポン定番メニュー事始め』(彩流社)がある。


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