漬け物樽と重石はどこへ?
それでも染み込む漬け物の味

変わるキッチン(第10回)~漬ける

2015.02.27(Fri) 澁川 祐子
筆者プロフィール&コラム概要
漬け物の代表格、糠漬け。糠と塩のなかに野菜を入れて混ぜるだけで、生野菜とは味が一変する。

 最近、小さな漬け物用ポットを買った。

 耐熱ガラスの器に同じくガラス製の重し、それに密閉できる蓋がついている直径10センチほどのものだ。

 余った野菜を適当に切って、塩をふり、細く刻んだ昆布と輪切りの唐辛子をぱらり。夜に仕込んでおくと、翌朝には野菜から出た水分に野菜がずぶずぶと沈み込んでいる。

 これまでも瓶やジッパー付きの保存袋を使って、簡単な塩もみなどをつくることはあった。でもやっぱり重しの威力はすばらしい。重しがあるというたったそれだけのことで、味の沁み込み具合がこうも違うのかと驚いた。

 そこで少し調べてみると、重しの効果は一目瞭然だった。

 もっとも塩をふりさえすれば、浸透圧の関係で野菜のなかの水分は出ていく。だが、押されることでより一層、水分は排出されやすくなる。そうして漬け汁の中に材料がすっかり漬かることで、空気にふれなくなり、変質しにくくなる。また、野菜の中に塩が入り込むことで調味される。

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1974年、神奈川県生まれ。東京都立大学人文学部を卒業後、フリーのライターとして食や工芸・デザインを中心に、読むこと、食べること、暮らすことをテーマとしたインタビューやルポ、書評を執筆。『森正洋の言葉。デザインの言葉。』(ナガオカケンメイ監修、美術出版社)、『最高に美しいうつわ』(SML監修、エクスナレッジ)の取材構成ほか、近著に当連載をまとめた『ニッポン定番メニュー事始め』(彩流社)がある。


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