3月決算、そして個人の確定申告が迫ってきた。電車に乗っていても決算や税金の話が耳に入ってくる。数字が苦手という方には憂鬱な時期である。

 この時期は経営コンサルティングの中でも会計や税金に関する相談を受けることが多くなる。そういった相談の中には、「今さら聞けない数字の話」が意外に多い。経営者が知っていそうで案外知らないことがいくつかある。

経営者の顔が青ざめる一瞬

確定申告のポスターなどが貼られた税務署の入り口(本文とは関係ありません)

 とりわけ知らないと危険だと感じるのが、キャッシュフローと節税に関する判断についてである。

 「今年は利益が多く出そうだから、新しい機械を買おうと思う」

 「利益は十分に出ているので、新たに人を雇おうかと思ってます」

 そんなふうに満足気な顔でお話しされる経営者の方でも、次の一言で顔が青ざめる方は少なくない。

 「利益に比例してキャッシュは増えていますか?」

 キャッシュとは預金と現金のことであり、事業資金を意味する。過去数年分の決算書や確定申告書を拝見すると、毎年利益は出ているものの、キャッシュが年々減ってきているケースがある。

 その状況を目の当たりにした経営者の方は深刻な面持ちになる。

 「利益が出ているのにキャッシュが減っていくって、どういうことですか?」

 これまでに何人もの経営者の方からこのご質問をいただいた。いくつか原因はあるが、主な原因は借入金の元本の返済である。

 借入をした場合、毎月元本と利息の返済を行う。例えば、5000万円の借入をして、借入期間が5年、年間1000万円の元本の返済とそれに伴う利息の支払いを行うとする。

 ここで注意しなければいけないのが、利息の支払いは経費に含められるが、元本の返済は経費には含まれないということである。