平成27(2015)年1月から相続税が大幅増税となった。

 これにより相続税の納税対象者は大きく増加することになる。「相続税は一部の金持ちだけが払う税金だ」などと、どこ吹く風ではいられなくなり、多くの方にとってずいぶん身近な税金となる。

 特に東京23区内の土地や、東京23区以外でも都市部で大きな道路に面している土地は一般的に資産の評価額が高くなるため、こういった土地を有している方は相続税が発生する可能性が十分にある。

 「これといった贅沢もせず、年金で慎ましい生活を送っているだけの私たち夫婦に、そんな大きな相続税がかかるんですか!?」

 相続税の試算をした際にあるクライアントの方から言われた言葉だが、やや震えながらのその声からは驚きと途方に暮れたような気持ちが伝わってきた。

 財産と言えるほどのものは先祖から受け継いだ土地くらいしかなく、質素倹約した生活を送っているといった方でも、その土地の場所によっては土地が高く評価されてしまうことがあり、結果として高額な相続税が課せられることもある。

相続税節税の成否を決定する鍵とは

 相続税を支払うのは財産を相続する者、つまり相続人である。

相続税増税で相続税の納税対象者が拡大する

 そのため、相続税によって子供や親族に迷惑がかからないようにと、自らの財産の評価額を把握し、結果としていくらの相続税が発生するのか、高額な相続税が課せられないようにするためにはどうすればよいのか、といった相続税対策を始められる方が増えてきた。

 経営者のご相談の中でも相続に関するご相談は増えてきており、後継者への事業承継問題と合わせて切実な問題となっている。

 書店では相続税の節税に関する書籍や記事があちらこちらに見受けられ、世間的に相続税に関する関心が高まっているのを肌で感じる。

 相続対策と言うと、節税対策の手法に意識を向ける方が多い。生前贈与、保険を活用した節税、不動産を活用した節税、株価対策など・・・。

 しかし、相続税対策を専門家に依頼し、具体的な節税対策法が明らかになった場合でも、財産を譲り渡す側(被相続人)と財産を相続する側(相続人)が節税対策内容に合意しなければ実行に移すことは難しく、結果、節税対策法は絵に描いた餅となる。

 つまり、節税の成否のカギを握るもの、それは被相続人と相続人全員のチームワークと合意の形成である。

著者特別セミナーのお知らせ
相続税の基礎知識と相続にまつわる心理〜心の相続対策と財産の相続対策〜
●本コラムの著者で、公認会計士・税理士・心理カウンセラーである藤田耕司氏による特別セミナーを開催いたします。
●相続税の大改正で課税対象者の範囲が広がり、より多くの方にとって相続税対策が他人事ではなくなっています。また、相続の場面では関係する人々の感情や心理への配慮も大切な要素です。
●今回の特別セミナーでは、近ごろ『もめないための相続心理学』を出版された藤田氏が、「財産」と「心」の両面から、相続対策のために準備するべきことについて解説いたします。
ぜひこの機会にご聴講ください。講演概要およびお申込みはこちらから
※セミナーのお申込みは、JBpress(株式会社日本ビジネスプレス)が運営するイズメディア・モールにて受付いたしております。