桜内氏の試算では、外国人への生活保護支給は年間1200億円に達するという。最高裁の「国民」限定にもかからず、塩崎恭久厚労相は「当分の間は特定の期間を想定しているのではない」として、見直さない方針であるという。遵法精神のない官僚作業の追認では大臣はいらない。

尖閣で押されっ放しの外務省

 北京で2014年11月開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力)で日中の首脳会談を実現するために、事務レベル会合がもたれ、4項目の合意文書が明らかになった。

 この文書について、水島総氏(日本文化チャンネル桜代表)は「『合意文書』なるものは、存在していない。(中略)テレビ、新聞のほとんどが、『大誤報』をやってしまった」(『正論』2015年1月号所収)と述べる。

 外務省ホームページには(1、2、4略)「3、双方は、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた」となっている。

 水島氏はディレクターに指示して外務省中国モンゴル第一課の職員を取材させ、合意文書という正式な位置付けでも、文書でもないことが分かったという。

 該職員は「日中の政府間で協議してきたが、意見の一致を見た内容をそれぞれの言葉でそれぞれまとめたもので、(普通、英語のような正文があって、日本語も中国語も正文に従って定めるが、今回は)そういうことは全くしていませんで、元々、文書ですらないというのが我々の立場です」(文意を変えない範囲で要約)と述べている。

 過去何回も尖閣に出向いている水島氏は、2014年11月の漁業活動が阻止されたこと、中国の防空識別圏設定で日本のメディアの飛行機やヘリコプターが上空を飛べなくなっていること、他方で尖閣領海では日中双方の公船が「平和共存」状態で互いに自由に出入りしていることなどから、「どんどん後退しているように思える」と疑問を投げかける。

 これに対し、職員は「中国側が勝手に領海に入って来てるんですね。後退とおっしゃるんですが、我々は話すしかないと、話しをして引かせるしかないと基本的に思ってるんですね」と応じている。