この時点では、3%増税と円安で生活物資は値上がりし、国民の生活苦が鮮明になっていた。アベノミクスが始まった平成25(2013)年初め以来、実質GDP(国内総生産)は増え続け、増税後の7~9月期も2%台の実質経済成長率維持で16兆円増えるはずであった。
しかし、現実は前年より約6兆円減り、逆ブレとなる。
ちなみに、平成9(1997)年度の3%から5%への消費税増税で、平成25年度までの17年間に消費税収は68兆円増えたが、増税によるデフレがその他の税収を163兆円減少させている。
10%への増税はようやく浮揚し始めた経済活性化の目を摘み、経済環境が一転して悪夢と化すことが明確になってきた。アベノミクスを生き返らせて再浮揚するためには失ったGDPを取り戻すことが必要であり、財務省や税調などの増税一色は、首相にとって到底受け入れられるものではなかった。
国民の声や、首相の思いは麻生太郎大臣には伝わらなかったのだろうか。財務相が政治力を発揮して財務官僚の強硬姿勢を抑えたのか否か、大きな疑問が残った。
外国人も「国民」扱いの厚労省
桜内文城前衆議院議員は「遵法精神なき外国人への生活保護支給を憂う」(『正論』2014年12月号所収)で、「来日して間もない中国人が生活保護の受給を申請してきた。一族郎党まで目を疑うばかりの人数で申請が行われ、それが認められてしまった」と書いている。
「相当の資産がある」と市が見立て、中国籍女性(82歳)の生活保護申請を却下したことが発端で裁判となり、最高裁は「外国人は生活保護法の対象ではなく、受給権もない」とする、「国籍条項」を明確にした判断を改めて2014年7月18日に示した。
ではなぜ、中国人一族郎党に生活保護が認められたかである。これこそ、遵法精神のない厚生労働省官僚の独断による重大違反ではなかろうか。