朝日新聞は「強制連行」を取り消すことなく、「強制性」の存在や「女性の人権」問題にすり替え、日本の「名誉回復」には素知らぬ顔を続けている。
政府はクマラスワミ報告の一部撤回を求めたが、その後に出されたマクドウーガル報告も「日本政府と軍が直接関与して『強姦所』がアジア全域に設置され、若い女性が奴隷にされて毎日何回も強姦された」と書いている。
日本の「名誉回復」には、外務省が率先して行動すべきであるが、同省には国益を毀損した前科があまりに多い。ここでは、歴史に学んで抜本策を提示したい。
日本の発信力
朝日新聞は、「済州島で女性を慰安婦にするために連行した」とする吉田清治証言については「裏付けが得られず虚偽と判断した」として、12本の記事を取り消した。しかし、32年間にわたる報道で刷り込まれた国際社会の認識を変えるのは容易ではない。
その後、福島第一原子力発電所の事故処理に関する吉田調書の読み誤りと、池上彰氏の連載記事見合わせ問題で報道の信頼性と言論の自由に関して疑問が持たれ、社長は9月11日に記者会見した。この折も、従軍慰安婦問題は「付け足し」でしかなかった。
これを受けた13日の「天声人語」は、砕け散った「信頼を一から作り直していく」と決意を述べているが、従軍慰安婦の強制連行には正面から向き合っていない。
同コラムは「まっさらな紙に記事が印刷されて、世の中に出ていく。新聞社で働く者の喜びであり、ささやかな誇りでもある」と書き出しているが、従軍慰安婦問題や吉田調書をスクープしたときの気持ちそのもので、日本の悪を暴いて正義を主張していく高揚感で一杯であったに違いない。
産経新聞が精力的に従軍慰安婦問題の誤りを指摘してきたが、残念ながら慰安婦像や慰安婦碑は増加の一途をたどってきた。
また、第一次安倍晋三内閣も「広義の強制性」はあったが、朝日新聞が報じて日本批判のもとになったような「狭義の強制連行」はなかったと主張してきた。しかし、国際社会の認識を変えるに至っていないし、苦戦を強いられている。
慰安婦問題は日本の名誉だけでなく、在米日系人をも辱め、地域社会や学校では家族や子女が種々の嫌がらせを受けるに至っており、安全にも関わる問題である。