少々マニアックな話題なのですが、12月17日、日本胃がん予知・診断・治療研究機構の理事会が、「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版」の改訂案に対して抜本的な再考を求める意見を表明しました(「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版・ドラフトに対して」)。

 医療の世界では様々な疾患に対して「ガイドライン」なる診療指針が続々と設定されています。2014年度でいうと、私の専門分野である胃腸科肛門科だけに限っても、「機能性腸疾患(便秘・下痢・腹痛などを来す疾患)」「機能性ディスペプシア(胃もたれや膨満感を来す疾患)」「大腸ポリープ」「NAFLD/NASH(脂肪肝や肝機能以上を来す疾患)」「肛門疾患ガイドライン」と5つのガイドラインが設定されました。

 今回問題となったガイドラインは、胃がん検診に関するガイドラインです。これは、胃がん検診としての胃のバリウム検査や胃の内視鏡検査を、今後どのように行うべきかを示すガイドラインです。

 両者のリンクを参照していただければ詳しい説明が載っているのですが、長文ですので、一言で見解の根本的な相違をまとめると次のようになります。

 つまり、「胃がんは基本的にはヘリコバクターピロリ菌に起因する感染症である」ことを認めるか否か、です。

 ガイドラインの設定方法が間違っていると、誤った方向に治療を推し進めてしまう可能性があります。今回の論争はそのリスクを示したと言えるでしょう。