防衛省が調達を目論んでいるE-2D アドバンスト・ホークアイ早期警戒機(写真:米海軍)

 安倍総理による衆議院解散について、筆者周辺の日本に関心があるアメリカ海軍や海兵隊それにシンクタンクなどの軍事関係者たちの多くが、「解散総選挙の争点は本当に経済問題だけなのか?」と口を揃えて疑問を漏らしている。

国防が国政選挙の争点にならない不思議な日本

 このような疑問を口にする米軍関係者たちは、当然ではあるが、今年(2014年)の夏には集団的自衛権を巡って日本で活発な議論が展開されていたことや、安倍政権が強力に集団的自衛権行使容認に踏み切った事情には注目していた。そして集団的自衛権とともに、中国の尖閣諸島や東シナ海での侵攻的姿勢に対抗すべく“島嶼防衛”が日本の国会やメディアでも頻繁に取り上げられていることも熟知している。さらに、このような軍事的危機を乗り切るために防衛省が高価な正面装備の“買い物リスト”を用意して、具体的な予算案を作成していることも、それとなく気にしている。

 要するに、彼らの疑問はこういうことだ。「日本は国防や対外関係という国政レベルで緊迫した状況下にある。経済問題は国民生活にとってはもちろん重要ではあるものの、地政学的緊張状態に比べるとさして緊急とは思えない。それにもかかわらず経済問題だけを争点として解散総選挙を実施するというのは日本的な建前であって、裏には隠された本当の争点があるのではないか?」というわけである。

理にかなっているE-2D早期警戒機の導入

 さて、“島嶼防衛”ならびに防衛省の“買い物リスト”、すなわち国民の税金の兵器への投資は、アメリカの国政選挙であったならばアベノミクス以上に選挙の争点になるであろう。この買い物リストに米軍関係者以上に関心を示しているのが、アメリカ防衛産業である。

 とりわけアメリカ防衛産業にとっての目玉商品は、島嶼防衛を旗印に調達が目論まれているMV-22Bオスプレイ中型輸送機(ベル・ボーイング社)、AAV-7水陸両用強襲車(BAE、英企業のアメリカ支社)、それにE-2Dアドバンスト・ホークアイ早期警戒機(ノースロップ・グラマン社)などの極めて高価な兵器である。

 これらの超高額兵器は、島嶼防衛も含めて日本の防衛には有用な兵器である。とりわけ、E-2D早期警戒機を4機導入するのは、極めて賢明な決定であると言える(もっとも、国防費全体が、日本周辺の危機的状況に対応して増額され得るならば、より多数のE-2Dを調達しなければならないのだが)。