防衛省が佐賀県にオスプレイ配備構想を持ち込んだ。自衛隊MV-22オスプレイ中型輸送機を佐賀空港に配備するというものだ。

 防衛省の構想では、自衛隊が取得予定のオスプレイ17機とともに、陸上自衛隊目達原駐屯地(佐賀県)のヘリコプター部隊(ヘリコプター50機)が、佐賀空港を本拠地とすることになる。また、アメリカ海兵隊の普天間基地から辺野古への移設進展状況によっては、現在普天間を本拠地にしているアメリカ海兵隊のオスプレイも、一時的に佐賀空港へ移動されることになる。

“オスプレイ恐怖症”はほぼ終息

 2012年の夏に、沖縄のアメリカ海兵隊にオスプレイ12機が配備になった際には、多くのメディアや米軍基地反対陣営はオスプレイの危険性を喧伝して配備反対を展開した(JBpress「マスコミにつくられた『オスプレイ恐怖症』、日本防衛のために本当に必要な議論を」)。翌2013年夏、沖縄の海兵隊に第2陣のオスプレイ12機が配備になる際には、“オスプレイ恐怖症”は2012年ほどには蔓延せず、オスプレイ配備反対のキャンペーンは若干トーンダウンした。

 そして今年の夏は、沖縄のアメリカ海兵隊オスプレイが岩国基地から横田基地や札幌(陸上自衛隊丘珠駐屯地)それに厚木基地などに飛来したり、佐賀空港へ自衛隊オスプレイを配備する計画が打ち出されてはいるものの、もはやオスプレイ恐怖症流行の兆しはないようである。

 このような状況は当たり前といえば当たり前である。2012年に沖縄の海兵隊に第一陣12機のオスプレイが配備されるにあたって、その当時、オスプレイはすでに5年以上にわたってアメリカ海兵隊やアメリカ空軍では実戦で使用されており、「安全性に問題のある極めて危険な航空機」などとは見なされていなかった。にもかかわらず、日本の多くのメディアがオスプレイの開発過程での事故を取り上げて、あたかも沖縄上空を飛行すれば墜落するがごとき危険極まりない航空機であると騒ぎ立てて、日本にオスプレイ恐怖症を植え付けてしまった。

 ところが、オスプレイが日本に配備になってから2年近く経った今日に至るまで、墜落はもちろん重大なトラブルは発生していない。アメリカ海兵隊員やアメリカ軍将兵など多数の人々が命を託して世界各地の空を飛び回っているオスプレイが、そう簡単に重大事故を引き起こすことはあり得ない。オスプレイ恐怖症を創り出したメディア自身も、そのことぐらいは承知していたはずであり、ただセンセーショナリズムにかられて恐怖情報を垂れ流していたとしか思えない。さすがにそのようなメディアも、今年の夏はオスプレイの安全性(機械的危険性)をあげつらっても、常識的な人々には相手にされないと考えたせいか、オスプレイ恐怖症を再発させようとする報道は鳴りを潜めている。