また、図3を見ると分かるように、イスラム教とキリスト教の境目にあたるところがサヘル地域に位置していると言える。そして、このサヘル地域とその周辺国に、現在、アフリカにおけるイスラム過激派テロ・紛争問題が集中しているのである。

図3:サヘル地域(出所:European Parliamentary Research Service

過激派が台頭するアフリカのイスラム教徒

 北・西アフリカそしてサヘル地域にはAQIM(Al-Qaeda in the Islamic Maghreb:イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ)、ナイジェリア北部を中心に活動するボコハラム(Boko Haram)、東アフリカのアルシャバブ(Al-Shabab)など複数のテロリストグループが存在する。

 彼らは互いに競争し、時には協力しながら、テロを起こし、また麻薬、武器、人身売買などありとあらゆる犯罪行為から収入を得ている。特に拉致から得る身代金も大きな収入源となっている。

 現在のこの地域におけるテロ・紛争問題などの不安定要素には、宗教、民族8があり、また、歴史的背景(奴隷制度、植民地など)も忘れてはいけない。

 一般にアフリカ大陸におけるイスラム教は穏健派イスラムであるが、近年過激化が問題視されており、ここ10年ほど前から湾岸諸国の資金を伴った過激派イデオロギーが入り込んできたといえる。

 次回は北・西アフリカとサヘル地域におけるテロリストの台頭とイスラム国の影響について、さらに詳しく見てみたい。

8 特にこの地域ではトゥアレグ(遊牧民)問題。