「ワサビ属ワサビ」に危機が迫る

日本人が守るべきわさび(後篇)

2014.01.31(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 日本の山菜「わさび」の歴史と現状を追っている。

 日本人とわさびの関係の歴史を追った前篇では、“寿司にわさび”も発明品であることや、日本全国各地にわさびの里山があり、各地にわさびを使った郷土料理があることを見てきた。全国代表の料理にも、地方代表の料理にも、鮮烈な風味の脇役としてわさびは添えられてきた。

 だが、いま、そんな日本のわさびが“危機”を迎えているという。多くの場所でわさびの里は荒廃し、世代を超えて受け継がれてきた資源が断たれているというのだ。

 岐阜大学応用生物学部助教の山根京子氏は、日本のワサビをめぐる現状を調査し、その保全のための研究を行っている。“どれほどの危機”が迫っているのかを聞いた。

 (注:本記事では、研究対象の植物を「ワサビ」、食材を「わさび」と表記します)

ワサビと見分けのつかない植物が中国奥地に

 山の土壌がたたえる豊かな水が、地上に出て沢をつくる。そこに“緑のじゅうたん”が広がる。日本には原風景の1つと言える「わさび田」がある。ここで育てられているのは「アブラナ科ワサビ属ワサビ」だ。日本で自生してきた種で、日本人はそれを各地の環境に馴化させて採取したり、わさび田をこしらえて栽培したりしてきた。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。