中国の尖閣諸島への攻勢がますます激しくなってきた。
米国議会の政策諮問機関が打ち出した見解によれば、そうした中国の動きは、日本に対する領有権主張を、軍事力を誇示する威圧的な方法で貫こうとしていることの表れだという。
また、中国政府はその強攻策の基盤として自国内の反日ナショナリズムを一段と強く扇動しているともいう。さらに、中国は尖閣問題を、日本との交渉によっても国際規範の適用によっても解決しようとする意図は毛頭ない、というのである。軍事力を背景とする頻繁な領海侵入、領空侵犯により、日本の領有権や施政権を骨抜きにしようという意図も露骨だというのだ。
こうなると、日本側にとっても、尖閣諸島防衛の物理的な強化を進める一方、日米同盟に基づく米軍の抑止力の取り込みを確実にすることがますます不可欠となる。
中国にとって領有権紛争の解決手段は「力」
米国議会の超党派の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」は、2013年度の年次報告を11月20日に公表した。そのなかで中国の上記の意図が明白に記されていた。
この委員会は「米中両国間の経済関係が米国の国家安全保障に及ぼす影響を調査する」ことを第一義の目的としている。その調査の結果を分析し、政策勧告として政府や議会全体に提案する。この委員会が発足したのは2001年だった。もう10年以上も中国の動向をじっくり見据えて調査や分析、提案を恒常的に続けてきた組織なのである。
同報告は「米国の安全保障利害への中国のインパクト」という章で、中国の軍事がらみの行動の対外的な意味、特に米国にとっての意味を詳しく伝え、論じていた。その章では、特に尖閣諸島をめぐる日中衝突などを重点的に取り上げ、「中国の海洋紛争」という項目でさらに詳述していた。