大容量瓶インスタントコーヒーに忍び寄る「絶滅」の危機

スティックタイプに生存戦略を見出すコーヒーメーカー

2013.11.15(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

 1世帯当たりの人数が減り、世帯の中で個食化が進んでいることも大容量瓶のインスタントコーヒーの消費が減っている理由だ。

 2000年代からスターバックスなどの“シアトル系”とも呼ばれる外資系カフェのブームが起きた。また2010年以降も、マクドナルドが100円でレギュラーコーヒーを提供し、さらに2013年になると、コンビニエンスストアの店頭でレギュラーコーヒーが飲めるようになった。

 「このままでは、インスタントコーヒーはすたれてしまうかもしれません」と危機感を表すのは、味の素ゼネラルフーヅ(AGF)生産統括部長の金谷克彦氏だ。同社は「ブレンディ」と「マキシム」の銘柄でインスタントコーヒーを製造しているが、大容量瓶の生産が減っており、構成比も年々小さくなっているという。

 一方、力を入れているのがスティックコーヒーで、同社の製品はスティックコーヒーのシェアの60%を占めている。

成分と嗜好性の相関から味のバラエティを追求 

 同社がスティックコーヒーを発売したのは2002年。そのきっかけは、シアトル系のコーヒー店ブームを受けてのことだという。カフェオレやカプチーノなどのカフェメニューが認知されるようになったので、スティックコーヒーとしてそれらを売り出した。

 以前から、コーヒーに砂糖をまぜたミックスコーヒーはあったのだが、次世代コーヒーとして、スティックコーヒーというコンセプトを確立した。その肝は、製品の状態で1杯分のコーヒーの味が完成しているということだ。消費者が自分で1杯分の量を測り、砂糖やミルクを加えていた従来のインスタントコーヒーと違って、スティックコーヒーでは消費者はお湯を注ぐだけ。味を調節する必要もない。

 スティックコーヒー消費拡大の背景には、製品の多様性もある。同社のラインアップは32種類。ブラック、ミルク入り、カフェオレに加え、ココアや紅茶、抹茶などがある。カフェオレだけでも、甘さと味わいを変えて数種類の製品を出している。消費者は、好みや気分に応じてメニューを選ぶことができる。となれば、消費者の好む味をいかに作るかということが重要となる。

 「コーヒーの成分と嗜好性を相関させて、科学的なおいしさを追求しようと研究しています。その成果を活用して味のバラエティを実現しているのです。他社が追随できないような味を目指しています」と金谷氏は話す。

インスタントコーヒー技術を集結

 「スティックコーヒーは、いままでのインスタントコーヒー技術を集結したものなのです」と金谷氏は続ける。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。