「お酒の前に牛乳」は効果があるのか? 

「酒と体」の本当のところ(前篇)

2013.08.23(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

──上戸と下戸のほか、酒にあまり強くはないけれど飲めなくもないといった中間の人もいます。それぞれ、どう説明できるのでしょうか?

重盛 両親ともからALDH2を活性化する遺伝子をもらっている人は上戸です。お酒を飲んでも顔が赤くならないので「ノンフラッシャー」とも呼ばれ、日本人全体の55%を占めます。

 一方、両親ともからALDH2の活性をもたない遺伝子をもらった人は、奈良漬けを食べるだけでも顔が真っ赤になるような「フラッシャー」、つまり下戸で、全体の5%です。

 残り45%は、両親のどちらかがALDH2を活性する遺伝子を持っていて、お酒を飲むと顔が赤くなりますが、“訓練”するとだんだん飲めるようになってきます。

──自分がどれに類するかは、分かるのでしょうか?

重盛 お酒を飲み始めたころのことを思い出してください。始めからけっこう飲めたという人はノンフラッシャーです。最初は酔っぱらって大変だったけれど、少しずつ飲めるようになったという人は、両親のどちらかがALDH2を活性する遺伝子を持っているのだと思います。

悪酔いは“ちゃんぽんだから”ではない

──巷で流布しているお酒をめぐる説について、その真相を聞きます。まず、日本酒と焼酎を一緒に飲んだり、いわゆる“ちゃんぽん”をすると、頭が痛くなったり吐き気をもよおしたり“悪酔い”しやすくなるといいます。これは本当でしょうか?

重盛 基本的には、単純に、アルコール摂取量が多いかどうかにかかってくるものです。“ちゃんぽん”して飲むような人は、結局は、たくさん飲んでいる人なのだと思います。

 確かに、お酒にはアルコール以外の物質も含まれているので、それらが頭痛などを引き起こす可能性がないとは言えません。しかし、やはりアルコール摂取量が悪酔いするかどうかの大きな要因であるとは言えます。

──太ってしまう要因として、お酒が関係していると唱える人がいます。これはどうなのでしょう?

重盛 アルコール自体が肥満に直接関係することはありません。お酒しか飲まないようなアルコール依存症の患者さんの多くは痩せています。

 アルコールは「エンプティエナジー」とも言われます。アルコールにはカロリーがあるものの、そのエネルギーは代謝されて熱になるため、あまり体にはとどまりません。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。