「お酒の前に牛乳」は効果があるのか? 

「酒と体」の本当のところ(前篇)

2013.08.23(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 例えば、1日1800キロカロリーのエネルギーを食べもので得ることで体重をキープしている人が、300キロカロリー分をアルコールで得るようになったとします。きっと、その人は痩せていくことでしょう。

 しかし、お酒を飲むことによって、食べものから摂り込んだ脂肪の代謝が遅れることがあります。また、糖分の代謝にも影響を及ぼします。ですので、お酒と一緒に摂る食べものや、ビールや日本酒に多く含まれている糖分などは、体にたまりやすいと言えます。そのようなことから肥満になることはあり得ます。

アルコール代謝を早める牛乳や食事の効果

──もう1つ、宴会の前に牛乳を飲む人もいます。聞くと、胃に膜ができてアルコールの吸収を抑えられるからといいます。これは本当でしょうか?

重盛 胃に作られた牛乳の膜がアルコールの吸収を抑えるということはありません。

 あるテレビ番組に協力して、牛乳を飲んだ人と水を飲んだ人がお酒を飲むと、血中のアルコール濃度がどうなるか実験したことがあります。牛乳を飲んだ被験者に胃カメラまで飲んでもらったところ、確かに胃に膜が作られていることが分かりました。しかし、お酒を飲んだ直後の血中のアルコール濃度の高まりかたは、水を飲んだ人と変わりませんでした。

 そもそも、アルコールの分子は、血管から脳に浸透するほど小さなものです。一方、牛乳は白い液体に見えますが、比較的大きな白い粒々によるものです。胃に牛乳の膜ができても、アルコールの分子は小さいので隙間を通過して吸収されてしまうのです。

──胃に膜を作っても、アルコールの吸収のされ方に違いはない、と。

重盛 ええ。しかし、その後の経過には、牛乳を飲んだ人と水を飲んだ人で違いが見られました。肝臓でのアルコールの代謝スピードについては、牛乳を飲んだ人のほうが早かったのです。つまり、酔いが覚めやすかったということです。

 この実験では、実験協力者に日本酒を3合、飲んでもらいました。血中のアルコールの濃度がゼロになるには8時間は必要です。しかし、牛乳を飲んでいた人は、ゼロになるまでの時間が1~2時間ほど短縮されていました。

 お酒とともに、牛乳やタンパク質を摂っていると、アルコールの代謝が進むということが言えそうです。牛乳のほか、例えば、甘いものを食べておくのも、酔いの覚めを早めるのに効果的です。

(後篇につづく)

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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