「あまのじゃく」という言葉がありますね。漢字で書くと「天邪鬼」なかなか恐ろしそうな名前です。各地に伝わる「うりこひめとあまのじゃく」の民話では、天邪鬼は瓜子姫を攫って殺してしまう悪い奴として描かれます。

 しかし私たちが実際に目にする・・・と言っても目にしても気がつかないことも多いのですが・・・「あまのじゃく」あるいは「あまんじゃく」はどちらかというと憎めないタイプの奴が多いんですね。

播州時光寺の増長天像と、踏みつけられる「あまんじゃく」。お笑いやマンガのいじられキャラ系の表情を見出すのは私だけだろうか?(ウィキペディア

 では私たちはいったいどこで、あまりソレと意識せずに「天邪鬼」を目にしているのか?

 超常現象とかではありません。美術彫刻の中に描かれているものです。ここでの「あまんじゃく」は、たいがい何とも情けない格好でひっくり返されて、情けない顔をしている姿を見かけるからです。

 いったいどこで・・・?

 正義のヒーローの足元で、です。例えばこんな具合に。 

 「あまのじゃく」にはもう1つ、民間起源なのだと思いますが、ちょっと面白い意味があります。わざと人と違うこと、まるで反対のことを言ったり、別の行動を取ったりするヒネクレ者を「あいつはアマノジャクだ」なんて言ったりします。

 実はいま、ここで考えてみたいのは、実はこちらの方の「アマノジャク」、つまり意識的に常識と逆方向に考えたり行動したりすること、の方なのです。

「逆転の発想」を逆転する

 昔、僕が高校生の頃ですが『逆転の発想』という本がブームになりました。

 大昔読んだ記憶で正確でないかもしれませんが、糸川英夫氏のベストセラーで「社会・企業・商品はどう変わる」という副題からも見えるように、ビジネス成功法則として通常の常識的思考とは逆の発想でこんなサクセスがあったよ、またこれからも、こんな風にするとうまくいくかもしれないよ、といった内容だったと思います。

 ハイティーンだった僕も、なるほど、と思いながら、でも似たようなことは俺だって今もしてるじゃん、なんて考えたりもしたのです。というより、むしろこの本よりこっちの方が一~二枚上手かな、なんて子供ですから勝手なことを考えました。