七草粥を通して見えてくる「食の未来」

風評対策、エネルギー問題、農業保護の行方は?

2012.01.06(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 1月7日は「七草の節句」。年末年始に働かせた胃を一休みさせるため、「七草粥」を食べる人も多いだろう。セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ。この七草をお粥に入れて正月7日の朝に食べるようになったのは14世紀頃。江戸時代には庶民にも定着した。

 週明けからは2012年もいよいよ本格始動。そこで、七草にちなんで、お碗に盛られた七草粥の食材からキーワードをいくつか拾い出し、日本の食を中心とする未来を大胆にも占ってみることにしたい。

今なお払拭されぬ日本産農作物の風評

 七草の1つ、「菘」(すずな)は、カブの別称。代表的な根菜類の1つだ。

1月7日は「七草粥」で疲れた胃を整えよう。

 カブを含め、2011年は多くの野菜が憂き目に遭った。福島第一原発の事故により、食品衛生法に基づく暫定基準値を超えた野菜類の出荷制限が相次いだからだ。

 原発事故が起きた3月には、福島県内で穫れたカブからも暫定基準値を超える放射性物質が検出され、出荷規制がかけられた。5月4日には出荷停止がいったん解除されたが、すぐまた暫定基準値を超える放射性物質が検出され出荷停止になるなど、放射性物質の影響を大きく受けた。

 あまり知られていないが、日本で生産されたカブは日本国内で消費されるだけでなく、世界に輸出されてもいる。日本にとっての最大の農産物輸出市場である香港は、2011年3月、千葉県産のカブやホウレンソウなどから基準値を超える放射性物質が検出されたことを受け、日本の農産物の一部輸入禁止を行った。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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