皆さんは「本場のフィッシュ&チップスの味」って、どんなものだと思われますか?

 ええと、ここだけの話ですが、英国というのは正直なところ、ろくな食べ物のない国という印象が強い。レストランなどに入っても、美食追求なんて感じにはまずならないですね。フランス料理の繊細さとは比べるまでもないし、イタリアだって大味ですが地中海らしい豊富な彩りがある。

フィッシュ&チップス(ウィキペディアより)

 いえ、何も高級食材とかでなくていいんです。ドイツもバイエルンなど多彩な肉料理がありますし、スイスの山の中は「アルプスのもんじゃ焼き」チーズフォンデュなんてものもある。

 西に行けばスペイン、ポルトガル、東に行けばハンガリーなど東欧諸国と、イスラム圏の影響を感じさせる、地域の味が存在しているわけですが・・・しかし英国というのは本当に食べ物の名物が少ない気がする。

 そんな中でよく言及されるのが、この「フィッシュ&チップス」、労働者階級の立ち食いファストフードとして世界最古の部類に属する、「マクドナルドの祖先」みたいなものかもしれません。

 そういう印象を強く持っていたのですが、やはり現地で食べるとちょっと違うところがある。少し印象を新たにしました。

ヨークで食べたフィッシュ&チップス

 以前、仕事で英国に渡ったとき、用向きのシェフィールドから週末ちょっと足を伸ばして古都ヨークまで行ってみたことがあります。

 現在では、中世以来の城壁などが観光名所になる古いヨークの町ですが、かつてはローマ帝国のブリタニア要塞として建設され、キリスト教を公認したことで知られるコンスタンティヌス大帝はブリタニア遠征中のヨーク宮廷で即位を宣言するなど、長く歴史の舞台となる大都市であり続けました。

 その証拠、というわけでもありませんが、新大陸の植民地にヨークにあやかって作られた「新ヨーク」という町が、その後どういう発展を遂げたかと考えれば・・・言うまでもありませんが「ニューヨーク」にほかなりません。お察しいただけるかと思います。

 土曜日に移動して到着したヨークの町、小腹が空いたのですがシッカリしたものを食べるほどではない・・・というとき、ウーズ川沿いのエリアに小さなファストフードの店があるのに気がつきました。

 フィッシュ&チップスの表示がある。「名物」というのでもないでしょうが、イングランドで伝統のフィッシュ&チップスを肴に、度数の高いビールを飲んでやろうということになりました。