PGから自動的にSEへ「昇格」
また、システムが肥大化していく要因の1つに、ユーザー企業からは見えにくい作り手側の事情もある。はっきり言ってしまえば、作り手のスキル不足である。
私が、この業界に入ってびっくりしたことの1つは、ほとんどのプログラマー(PG)やシステムエンジニア(SE)が、専門的な教育を受けていないということである。大学や大学院でコンピューター工学やシステム開発を学んだ人にはほとんどお目にかかれない。大卒でも理系より文系が多いのである。
そのように一人ひとりのシステム開発技術者が専門的な教育を受けていないうえ、システム開発会社ごとに知識レベルや技術レベルや経験などがまったく異なる。業界の標準的な知識体系や技術体系というものがなく、会社ごとにシステム開発の方法がバラバラなのである。
その均一化を図るために、IPA(情報処理推進機構:経済産業省の外郭団体である独立行政法人)がシステム開発技術者の各種資格を認定している。だが、あくまでも資格であって、その資格でシステム開発の能力を測れるわけではない。要するに、PGだとかSEだとかの職種分けは、各社が勝手に決めているということである。
では、各社はどうやってPGとSEを分けているのかというと、「数年PGとして実務経験を積むと、自動的にSEへ昇格していく」というところが多い。SEになると、ユーザー企業に請求する時間単価が高くなるので、システム開発会社はPGをどんどんSEに「昇格」させる。
だが、私は、PGが数年後に安易にSEを名乗るのはどうかと思う。「PGはPGであり、SEはSE」という考え方である。両者には、まったく別のスキルが求められるのだ。システム開発技術者のスキルが明確ではなく、高度な専門的スキルを持つ人材が不足していることも、システム開発費の高騰に拍車をかけているのではないだろうか。
さらに言うと、IT業界には建築業界の建築基準法のような規定や、違反した場合の罰則といったものもない。これからは、こうした法規制をきちんとしていかないと、システム開発業界全体の信頼や品質というものが担保できないのではないかと考えている。
先日、インドを訪問した際に感心させられたのだが、インドは国を挙げて(産官学が一体となって)システム開発の基準を作っている。また、ソフト開発の実力を計る「SEI-CMM」という世界標準の基準があるが、最高レベルのレベル5を取得している世界の企業の半分以上はインドの会社である。インドのシステム開発会社は、「品質」に絶対的な自信を持っている。国が主導する基準作りは日本でもやはり必要である。インドを訪問した時の詳細は回を改めてお伝えしたい。
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