羅針盤なしに突き進むシステム開発
システムの肥大化を防ぐために同時に必要なのが、システム開発のメソドロジー、つまり「方法論」「手順書」である。
大手コンピューターメーカーのシステム開発部門、大手システム開発会社などは、メソドロジーを所有しているが、なかなか実践できていないのが現状である。ましてや中堅以下のシステム開発会社ではメソドロジーを持っていないのが実情だ。
私が1990年代初頭に Ernst&Young に在籍していた時、すでにメソドロジーは存在していた。それは「ナビゲーター(羅針盤)」と呼ばれるものであった。船が航行する際に、最短距離のベストな航路を行くために、羅針盤はなくてはならないものである。システムを開発する場合でも、同様に羅針盤が必要なのだ。
参考までに当社のシステム開発方法論(手順書)「ASD(Accelerated Systems Development)メソドロジー」の概念を示す。拡大画像表示
ナビゲーターには、各開発工程(第1回を参照)でやらなければならないことが明記されている。各工程が終了するとチェックシートがあり、それで確認をすることで手戻りがないようにしているのである。
また、このメソドロジーでは、プロジェクトルームの机の配置や、各種契約を交わすタイミングなどまで、システム開発にまつわるあらゆる細かい作業が書かれていた。各作業には以下のようにコードが割り振られており、コードで管理するのである。
例)
A1101000000 顧客に関する情報収集
A1101010000 顧客の企業概要に関する情報収集(会社案内等)
A1101010100 組織に関する情報収集
A1101010200 主要機能に関する情報収集
A1101010300 地理的所在に関する情報収集
A1101010400 企業戦略に関する情報収集(目的・目標を設定)
A1101010500 業界標準に関する情報収集 ・・・・
こうしたメソドロジーを所有し、実践している会社はまだまだ少ない。存在を知らない会社もほとんどだ。手順書を持たずに経験と勘だけで構築しているのが実情である。
メソドロジーは、「オブジェクト指向」などの方法論とは別の視点で捉える必要がある。システムの「品質」の担保に、メソドロジーは必須なのだ。
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