このところ、毎朝のキスを欠かさなくなった。こう言うと、若い人たちからはダサいオヤジのくせに「キモ~イ」との罵声を浴びせられそうである。確かに中年のキスシーンは絵にならないかもしれない。でも、いいじゃないか。おじさんだって愛するものにキスをしたいんだよ。ちゅ。
毎朝キスを欠かさなくなった可愛いお相手
とはいえ、相手は残念ながら奥様ではない。もちろん彼女でもない。犬?、違います。猫は飼っていません。実はお相手は、携帯電話機、アイフォーン(iPhone)なのである。
腕立て伏せをして床に置いたアイフォーンの画面に向かって、ちゅっとやるとアイフォーンが可愛らしく回数を数えてくれるのだ。
画面にはご丁寧に、腕を曲げて、伸ばして、息を吸って、吐いて、とリズムと息遣いが表示されている。そのリズムに合わせないと回数を数えてくれない。
腹筋も同じで、電話機を持って腹筋すると回数を数えてビート音で教えてくれる。10回ごとに音が変わって画面を見なくても回数が分かる。
設定した回数の運動が終わると、そのデータは記録されてグラフ表示され、また自動的にツイッターでつぶやいて他人(ライバル)にお知らせして競争心を煽る仕組み。
NTTドコモのiモードは携帯電話機でメールができるなど画期的なものだったが、スマートフォン時代になって、その便利さは格段に向上した。
日々の腹筋や腕立て伏せといったごく初歩的な応用を見るだけでも、ヘルスケア分野での可能性を暗示しているような気がする。うまく使えば、老齢化している先進国の医療費削減に大きな効果が出てくるのではないだろうか。