「資金足りていますか? すぐお貸します!」「車でその日にご融資! 電話は1347××××」「手続き1分、即ご融資」──。中国で使っている筆者の携帯電話には、そんなショートメールがバンバン入ってくる。

 中国政府の昨今の金融引き締めで資金繰りに苦しむ経営者に目をつけたのか、携帯に送られてくる広告の発信主は不動産業者から金融業者にシフトした。彼らはいわゆる「地下金融」と言われる民間の貸金業者。「地下」といえども、近年はあたりをはばからず跋扈するようになった。

 中国では、親戚や友人間で低金利に融通し合う「民間借貸(民間金融)」が30年以上前から存在していた。

 民間金融はもともとは個人間にだけ認められるものだったが、最近は消費者と法人、消費者とその他組織の間にも広がってきた。2000年代前半から、中国では中小企業救済論として民間金融(=地下銀行)のあり方が議論され、そのプレゼンスは増してきている。国有銀行から融資を受けられず経営困難に陥る中小企業にとって、民間金融は重要な資金調達の手段となっている。

 中国の金融改革は、「地下銀行」に一定のルールと規制を与え、徐々に「地上」に浮上させる過渡期にある。その先鞭をつけたのが小額ローン会社である。人民銀行は2008年、「小額貸款公司(小額融資会社)」という業態での民間金融を批准した。収入の低い家庭や個人経営者を対象とする融資の空白を埋めるべく、試験的な取り組みを進めている。

もはや「借りたら最後」の高金利

 その一方で、高利貸しの暗躍が大きな問題となっている。

 浙江省では2011年7月、一部の民間金融の年利が「ついに100%を超えた」ことが話題となった。年利120%、180%という数字もある。温州市では2003~2010年にかけて13~17%で推移してきた年利が今夏24.4%をつけ、歴史的記録かと騒がれた時期の出来事である。

 中国では、民間金融の金利は人民銀行(中央銀行)の基準利率の4倍以内という規定がある。2011年4月に引き上げられた人民銀行の基準金利は6カ月~1年で年率6.31%。その4倍となれば25.24%である。「年利100%」は基準金利の約16倍にも相当する。民間金融で経営を維持してきた弱小企業にしてみると、もはや「借りたら最後」だ。