連載第1回は夕張のことをテーマとして取り上げましたが、とても多くの方に読んでいただきました。都会の人に地方の問題をどう伝えればよいのか手探り状態ですが、大変ありがたく思っています。
今回は、高齢化のお話です。
都会に住む方に「人口減少」のお話をすると、なかなかピンとこないようです。人口減少と言われても、どこか遠い世界のことのように感じられると思います。
それは無理もないことで、例えば、私が住む神奈川県横浜市。横浜市の2035年までの人口予測は以下のグラフの通り、2020年頃まで人口が増え続け、373万人まで達します(厚生省の社会保障・人口問題研究所の予測を基に筆者が作成。以下同じ)。
働く世代の減少はすでに始まっているのですが、そのスピードはとてもゆっくりなので、この恐怖を感じにくいと思います。
首都圏では福祉施設の整備が致命的に遅れている
ところが、高齢化の実態を観察してみると、全く異なる様相が見えてきます。
私は高齢化の問題を、「率」ではなく「数」で見ます。なぜなら、数が分からないと、何カ所の老人ホームの整備が必要なのかとか、どれだけ財政負担が増えるかという議論が具体的にできないからです。
そこで、横浜市の65歳以上人口の推移を見てみましょう。上のグラフの通り、2005年に61万人だったものが、2025年には100万人となり、その後も増え続けて2035年には114万人となります。
この数字だけ見ても、やっぱりピンとこない人もいると思います。
65歳以上といっても、元気なシニアが多く、旅行だ、演劇鑑賞だと人生を楽しんでいる姿を見かけます。元気な年寄りばかりなのだから、何が問題なのかと。