首都圏の高齢者に迫る危機、しわ寄せは地方へ

2009.10.21(Wed) 木下 敏之

新・地方自治論

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 ここまで説明するとお分かりいただけると思うのですが、地方はすでに高齢化が進んでおり、福祉施設の整備もある程度進んでいます。それに対して、これから高齢者「数」が急増する首都圏は、福祉施設の整備が全く遅れているのです。

首都圏から地方に送り込まれる高齢者

 首都圏は福祉施設の整備を税金で賄えばいいじゃないかと思う方もいるでしょう。しかし、そう簡単にはいきません。なぜなら、土地の値段が高いことに加え、福祉施設の安い賃金で働く人が雇いにくいからです。

 例えば、牛丼屋のアルバイトは時給1000円を超えるのに、それでも日本人の若者はなかなか集まりません。それ以上にきつい福祉施設の労働に若者が集まるでしょうか。

 では、どうなるか?

 今年の3月に象徴的な事件が起こりました。群馬県の渋川市で、無届けの老人ホームが火事になって10人のお年寄りが焼け死んだという事件(産経ニュースの記事)です。

 焼け死んだ人は、東京都墨田区から送り込まれた生活保護の高齢者だったのです。都内では全く施設が不足しているので、群馬県に送り込まれていたのです。しかも、火災防止の設備が不十分な無届けの施設に、です。

 なぜなら、安くつくからです。

 この事件は、これからも老人福祉施設の整備のスピードが上がらなければ、多くのお年寄りが地方に送り込まれることを意味しています。そして、それは、皆さんや皆さんのご家族なのかもしれません。

 地方の人にこのような首都圏の時限爆弾が爆発するという話をすると、「それみたことか」という反応を見せます。地方を軽視した罰だと。

 でも、地方の人は忘れています。「地方交付税交付金」というお金は、首都圏で徴収した税金を地方に分配している制度だということを。

 東京や神奈川が福祉施設の整備で財政が悪化すれば、地方に回るお金はなくなってしまうのです。

 都市と地方は色んなところでつながっています。この高齢化の問題についても、機会を見て、私の考える対策をお話ししていきたいと思います。

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