8月2日の期限が目の前に迫っているというのに、ほとんど進展を見せない米国債のデフォルト問題、中国で起きた高速鉄道の事故、そして日本では菅直人政権維持の切り札になった感のある原発問題。米、中、日という世界の3大経済大国で今週、世間の関心を最も集めた事件を挙げるとこの3つになるのではないだろうか。

やらせメールだけでない九州電力・陰の実力

今週のランキング
順位 タイトル
1 大手メーカーの特許戦略はぬる過ぎる
2 ドイツの川にはなぜ堤防がないのか
3 ベルギーはもはや国ではない
4 「いじめ」をする生徒はぶん殴り、停学処分だ
5 ノルウェーで起きた同時多発テロに震撼する欧州
6 高速鉄道の大事故にも懲りない中国共産党
7 信長が手を焼き、秀吉が利用した浄土真宗
8 ロシア人がこよなく愛す日本製品
9 欧州人が放つ「中国人、カネを置いて出て行け」
10 日本の債務:決して倒れないドミノ?
11 中国高速鉄道事故に青ざめる韓国鉄道関係者
12 居座れ鉄人、僕が菅直人首相を支持する理由
13 米国が債務危機に陥る日
14 日本のイノベーションに異変
15 建国の志・哲学なき日本のままでいいのか
16 米国を溺れさせる首都ワシントン
17 これで中国人は日本に行き放題?
18 1点の写真から読み取る日韓の明暗
19 イタリアとユーロ:いよいよ崖っぷち
20 黄金の輝きを放つスイスフラン

 そこで今回は、この3つのテーマについて振り返ってみたい。まずは日本の原発問題から。

 木下敏之さんの「なぜ九州の国会議員は原発再稼働問題に触れないのか?」は、九州の超巨大企業、九州電力の力の前に国会議員たちが沈黙させられている姿を描いている。

 「福島の原発事故に端を発した全国各地の原子力発電所の運転再開問題ですが、九州では、ほとんどの国会議員や首長がこの問題について発言をしません」

 「せいぜい政府の姿勢を批判することがあるくらいです。地域の問題を自分たちで考え、解決を図っていくという自治の姿とは程遠いものがあります」

 その理由はなぜなのか。木下さんは東京に長年住んでいると決して分からない九州の特徴があると言う。九電の圧倒的な存在感だ。

 福岡には七社会という九州財界に強い影響力を持つ企業の集まりがあるという。九電、西日本鉄道、九電工、西部ガス、JR九州、福岡銀行、そして西日本シティ銀行の7社である。

 その売上高を比べると、九電が1兆4860億円なのに対し、2番目に大きい西日本鉄道は3239億円、3番目の九電工が2486億円。九電が群を抜いて大きい。

 これだけの存在感があると、政界への影響力も半端ではなくなる。たいていの場合にはその影響力は人目につかないようにこっそり行使されるのだが、たまたま日の目を見たことがあるという。

 今年4月に行われた福岡知事選挙における候補者選びの大逆転劇だ。