カリフォルニア州サンフランシスコのくら寿司
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 日本食ブームが世界で広がる中、米国進出を目指す日本企業は商習慣や規制など多くの課題に直面する。本連載では『日本企業が成功するための米国食農ビジネスのすべて 商流の構築からブランディングまで』(石塚弘記、關優作、田中健太郎著/翔泳社)から、内容の一部を抜粋・再編集。進出に成功した日本企業や参入を支援する企業へのインタビューを中心に、巨大市場攻略のポイントを明らかにする。

 今回は、日本企業による米国の食品業界におけるM&Aを支援する竹中パートナーズの創業者が、買収を成功させるポイントを解説する。

「動いている汽車に乗ろう」――
M&Aの成功に必要なこと

 米国でM&Aを目指す日本企業を支援する竹中パートナーズ。

 買収の成功確率を高めるためにやるべきこと、注意すべきこと、買収相手の探し方や日本企業がとるべきリスクについて聞きました。

 

 私は15歳半でアメリカに来ました。日本では田舎暮らしだったので、魚と言えば煮つけや焼き魚。私自身は、生魚を食べるという経験が日本ではほとんどありませんでした。 

 当時を振り返れば、第二次世界大戦で米兵として来日した経験のある方や、日本人をお嫁さんにされた方、そして日系人が日本食を好んで食べていました。 

 その後、いわゆるインテリ層が「寿司は肉と違ってヘルシーだ」と言い始め、寿司ブームが広がりました。ハリウッド映画『ウォール街』で、インベストメントバンカーが自宅でパーティーをする場面があるのですが、寿司職人を自宅に呼んで寿司を振る舞うのです。 

※ 竹中征夫社長は、本インタビュー直後に逝去されました。