
日本食ブームが世界で広がる中、米国進出を目指す日本企業は商習慣や規制など多くの課題に直面する。本連載では『日本企業が成功するための米国食農ビジネスのすべて 商流の構築からブランディングまで』(石塚弘記、關優作、田中健太郎著/翔泳社)から、内容の一部を抜粋・再編集。進出に成功した日本企業や参入を支援する企業へのインタビューを中心に、巨大市場攻略のポイントを明らかにする。
今回は、「今は日本企業にとって絶好の機会」と言い切る伊藤園の北米法人CSO(チーフセールスオフィサー)が、現地ブローカーとの付き合い方やディストリビューターの使い方、市場拡大の秘訣を語る。
ブローカー、ディストリビューター…
各チャネルを攻めるのになぜ必要か
今こそ日本ブランドが米国の消費者にリーチするチャンスだと説くITO EN(North America)のRob Smith氏。
ブローカーとのつき合い方やメリット、ディストリビューターの攻略などについて聞きました。

私は米国の食品・飲料分野で約30年の業界経験があります。かつては米国の大手多国籍飲料ブランドで、販売、マーケティング、分析の様々な役割を担当していました。
現在は、ITO EN(North America)のチーフセールスオフィサー(CSO)として、北米事業のすべてのチャネルを担当しています。
米国は市場として攻略するのが難しい広大な地です。まずは、特定地域でのテスト販売を通じてブランドコンセプトが正しいか確認する、というのは有効なアプローチかもしれません。
UNFIやKeHEという全国規模のディストリビューターは、融通が利きにくいことに加えて、多くのメーカーが苦労しているようにコスト(ディダクション)がかかります。しかし、小売の世界では、これらのディストリビューターとの連携なくしては、ナチュラル系・コンベンショナル系の多くの販路にアクセスすることができません。ですので、まずは彼らの特定のDC圏内でキーアカウントと連携したテスト販売を行い、成功体験を積み上げていくというのは有効な戦略と考えられます。