・データドリブンな意思決定の阻害
組織のサイロ化はデータのサイロ化も引き起こします。部門間でデータが共有されないことで、全体像が見えずに誤った判断をしてしまう可能性が高くなります。
シームレスにデータがつながれば、例えばカスタマーサクセスのリソースが逼迫(ひっぱく)している要因は、前工程のレベニュー部門で本来製品・サービスがフィットしないターゲットに対してマーケティング活動や営業活動を実施してしまっているからだと気づくことができるでしょう。
・顧客体験の質の低下
データが分断しているということは、部門を超えた瞬間から一貫性のない顧客対応が発生してしまうことと同義です。問い合わせ窓口が変わると顧客は何度も同じことを説明しなければなりません。また、ブランドの一貫性は、企業の価値観やビジョンを顧客に明確に伝えるための重要な手段です。
一貫した購買体験の提供ができていれば、顧客からの信頼感は高まり、継続的に自社の製品・サービスを選択してもらえ、潜在的な顧客の紹介などさらなるレベニュー成長へのサポーターを生む可能性があります。
・業務効率の低下
サイロ化によりプロセスが分断されると、当然業務は非効率になってしまいます。重複した業務が発生するので、人的リソースを無駄に消費しています。
部門間での協業がスムーズになれば、リソースを最適に活用可能です。結果として、プロジェクトのスピードが上がり、全体的な業務効率が改善されるでしょう。また、時間とリソースが有効に活用されることで、組織はより多くのイノベーションや成長機会に焦点をあてられ、競争力の向上にも寄与できるかもしれません。
これらのサイロ化による課題を解決するものとしてRevOpsは近年注目を集めています。
アマゾン、グーグル、 マイクロソフトでも 採用されるRevOpsチーム
■ 新たな波から一般に普及する段階へ
RevOpsはまだ比較的新しい概念ですが、その起源はマーケティングと営業の連携の必要性が認識された2000年代初頭にさかのぼります。そして序章02節で解説した変化に伴ってこの20年間で、その緩やかに定義された概念から、確立された組織機能へと進化し、現在では多くの企業がRevOpsの専門部門を持つようになりました。主にIT業界では2018年ごろから多くの企業が導入しており、他の業界と比較すると5年ほど進んでいるといえるでしょう。