今や米国内の6割を超える大手企業が専門チームを持つほど標準化している協業プロセス「RevOps(レベニューオペレーション)」。マーケティングや営業、カスタマーサクセスなど企業のレベニュー組織のプロセス・データを、システムで統合・最適化することで持続的な収益成長を目指す概念を指すが、日本では依然として属人的管理中心のレベニュー組織が多く見られる。本連載では『レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識(MarkeZine BOOKS)』(川上エリカ、丸井達郎、廣崎依久著/翔泳社)から、内容の一部を抜粋・再編集。これからの企業の生産性向上に欠かせないRevOpsの役割について解説する。
第3回では、サイロ化された組織内において戦略を誤らせる要因となる「データのバイアス」の問題について紹介。正しい経営判断の舵取り役となるRevOps組織の重要性を、企業側と顧客側の双方から考える。
■ サイロ化されたXOps組織
RevOps組織が確立される前の欧米では、各部門のトップであるマーケティング責任者、営業責任者、カスタマーサクセス責任者の配下に、マーケティングオペレーション(MOps)、セールスオペレーション(SalesOps)、カスタマーサクセスオペレーション(CSOps)がそれぞれが設置されていることが一般的でした。
日本でもオペレーション部門を持つ企業では、そのような組織モデルになっていることが多いと思います。オペレーションモデルが段階的に整備されてきたということです。
それでは、MOps, SalesOps, CSOpsというそれぞれの部門にあったオペレーション組織が1つのRevOps組織になることにはどのような意味があるのでしょうか。
これについては、第8章のレベニューリーダーズインタビューでOpenprise(オープンプライズ)のCEOであるエド・キング氏もデータのバイアスについて興味深い話をしています。
それぞれのフィールド部門配下のオペレーション部門では、所属する部門に忖度したデータを提示していることが多く、そのバイアスがかかったデータを正として経営判断は実施できません。各部門の主張としては正しく見えても、レベニュープロセス全体を通して見ると正しいものかわからないのです。