統合されたデータは、顧客に関するあらゆる情報を可視化するので、マーケティングはさらに効果的なキャンペーンの企画を実現でき、営業やカスタマーサクセスはアップセルやクロスセルの機会を見逃さず、高い精度のフォーキャストによって収益成長を実現できます。
シームレスかつ一貫性のある 顧客体験の構築
■ 進化する顧客の購買プロセス
潜在顧客に自社製品を認知してもらい、そこから顧客やロイヤル顧客になってもらうまでの一連の購買プロセスは複雑化してきています。
今から20年ほど前は新規の営業といえば飛び込み営業が主流でした。時は流れ顧客の購買行動も変化する中で(図1-2)、売り手本位のタイミングや伝え方ではなく、一連の購買プロセスの中で組織的に一貫性のある質の高い顧客体験の提供が求められています。
■ 図1-2:複雑化するBtoBのバイイングジャーニー
■ 分断された組織で起きる残念な顧客体験
少なからず読者の皆さまも顧客として製品やサービスと関わる中で購買体験に違和感を持ったことはあるのではないでしょうか。
例えば、A社は顧客の購買フェーズに合わせてマーケティング、営業、カスタマーサポートといった部門に分けてコミュニケーションを行っています。これらの部門は独立して運営されており、それぞれが異なるデータベースやシステムを使用しています。
顧客は製品に関連するWebサイトを訪れ、メールマガジン購読や資料ダウンロードなどの情報収集を実施します。マーケティング部門ではこの顧客の行動データにもとづいて広告を表示するので、必要な情報が適切なタイミングで届くことに顧客は心地よさを感じブランドへのエンゲージメントは高まるかもしれません。
しかし、この顧客が営業部門と接触したとき、これまで収集してきた情報は全く引き継がれません。営業部門はこれまでの顧客行動やそこから導き出される顧客の興味関心のインサイトにアクセスできず、本来そこから導き出せる仮説を提案に生かせません。
その後、購買に至った顧客がカスタマーサポートに問い合わせても、これまでの検討の経緯や購買の背景などのデータをカスタマーサポートは持っていません。そのため顧客は、対応部門が変わるたびにまた自分の状況を何度も説明し、ストレスを感じることになります。
このような状況では、購買体験の満足度は決して高くはなりません。質の悪い購買体験は、顧客が自分のニーズや好みを理解していないと感じる原因や、契約後の顧客を大切にしていないと感じる原因にもなります。結果として、顧客が次の検討タイミングで競合他社の検討を視野に入れてしまう可能性を否定できないでしょう。
<連載ラインアップ>
■第1回 なぜ営業DXが成功しないのか? 米国で6割超の大企業が専門チームを設ける「RevOps」とは
■第2回 アマゾン、グーグル、マイクロソフト…世界的ビッグテックはなぜ「RevOps」の専門チームを組織するのか
■第3回 サイロ化された組織で起こり得る「データのバイアス」とは? 「RevOps」が経営判断にもたらす信頼性(本稿)
■第4回 レベニュー戦略全体を統括するCROは、なぜ現代のビジネスにおいて重要視されるようになったのか(12月18日公開)
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