トリドールの皆は今でも十分がんばってくれている。その上で、もっと個人が生き生きと働ける環境をつくれたら、働く人の幸福度を上げながら、会社もこれまで以上に成長できるのではないか。そんな期待を抱きました。そこで、2022年3月に「KANDO開拓コミッティ」というプロジェクトを立ち上げ、働く人の幸せ・ハピネスについて考え始めました。そのKANDO開拓コミッティが主催で私が議長となり、経営改革の全体戦略立案をする「感動創造会議」を設定。その下に「トリドールホールディングス改革会議」や「ハピネス感動創造会議」といったチームを設け、議論を重ねてきました。

 2024年からは全社を上げて、新たな経営改革に取り組んでいます。従業員の「ハピネス」が、お客様の「感動」を生む。その循環が常に生まれる組織を創ることを目指し、さまざまな施策がスタートしたところです。

離職率がこれからのトリドールの命運を左右する

 2023年11月に開催した全社イベント「ALL KANDO CREATORS MEETING」では、まだ議論の最中ではありましたが、全国で働く社員の皆さんに直接メッセージを届けられる貴重な機会だと思い、その時までにまとまっていた内容をお話ししました。

今、私は、過去に味わったことがないほどの危機感を感じています。今日は皆さまに、今私が感じていることを、そのままお伝えしたいと思います。

この日本においては、少子高齢化に歯止めがかかりません。人口は減り続ける一方です。

そして、コロナによって「飲食の仕事はしたくない」と考える人が増えました。実際、トリドールも人を集めづらくなっていますし、人がどんどん辞めてしまうという現実が、今すでに目の前に突きつけられています。

では、どうするのか。少子化は止まることがないから、他の会社と同じように機械化に走り、省人化を目指すのか。

私は絶対にその道には行きません。なぜか。その道は、トリドールが歩む道ではないからです。

私は、他の会社の真逆に行きます。人が群がる会社にしていきます。

言い方を変えると、人が群がる会社になることで初めて、トリドールは本物の感動創造業に進化することができるのです。

省人化を目指す会社には不可能でしょうが、今まで人の力を信じてきたトリドールには、その可能性があります。

この可能性を引っ張り上げて、人が群がり、真の感動創造業への進化を実現させる唯一の方法は何か。

それは、トリドールで働くすべての人が幸せになることです。

ここにいる皆さま一人ひとり、店頭を支えてくださっているお一人お一人のパートナースタッフ、そして、今も世界中で活躍してくれている世界中の仲間たち。 すべての人が、幸せになることです。

「幸せになる」と言うと、少し漠然としたものに聞こえるかもしれません。でも私は、漠然としたイメージで「幸せ」と言っているわけではありません。

もっと具体的に表現するならば、皆さまが日々働いている一つひとつの店舗や職場が、一人ひとりにとって、かけがえのない居場所になることをイメージしています。

一つひとつの店舗や職場を、私達経営はもちろん、全員で力を合わせて、今よりもずっとずっと、心地よい時間が過ごせる場所にしていくこと。

私はそれこそが「幸せになる」ということだと、考えています。

(スピーチ内容抜粋)

 ここでいう危機感とは、離職率がこれからのトリドールの命運を左右する、ということです。