トリドールホールディングス 執行役員 CMO 兼 KANDOコミュニケーション本部長 兼 丸亀製麺 取締役 マーケティング本部長の南雲克明氏(撮影:宮崎訓幸)

 丸亀製麺のうどんで作られたドーナツ「丸亀うどーなつ」がヒットしている。2024年6月に発売開始し、1カ月で400万食を突破。売り上げは想定の倍を超え、丸亀製麺では過去最大のヒット商品になったという。この異色の新商品はどのように誕生したのか。「丸亀シェイクうどん」「丸亀うどん弁当」に続くヒット商品を世に出したトリドールホールディングス 執行役員CMOの南雲克明氏に話を聞いた。

【インタビュー動画はこちら】発売1カ月で400万食を突破、丸亀製麺「うどーなつ」大ヒットの裏側に迫る!

もちもちの食感がうどんとの相乗効果を生む

――新商品「丸亀うどーなつ」がヒットしています。なぜうどん店がドーナツを作ろうと考えたのでしょうか。

南雲克明/トリドールホールディングス 執行役員CMO
トリドールホールディングス 執行役員 CMO 兼 KANDOコミュニケーション本部長 兼 丸亀製麺 取締役 マーケティング本部長。早稲田大学大学院商学研究科卒MBA。コナミスポーツ、サザビーリーグなどBtoCの事業会社においてさまざまなブランドのマーケティング責任者を歴任。2018年トリドールホールディングス入社。2022年より現職。“感動(KANDO)”を起点に、感性とデータサイエンス両側面から持続的に選ばれる確率を高める「感動ドリブンマーケティング」を推進。ビジネスと企業価値をグロースさせ続けるマーケティングの革新と拡張に取り組む。

南雲克明氏(以下敬称略) この商品を開発し始めたのは、3年ほど前にさかのぼります。当社のスローガン(「食の感動で、この星を満たせ。」)にあるように、私たちは「食の感動」を創造することを目指し、常にさまざまな商品開発を行っています。

 新商品における「食の感動」とは、一言で言えばお客さまの想像を超えることです。今までにないワクワクや驚きのある商品を作り、食べてみたいという気持ちなっていただく。そしてお客さまは実際に食べると、期待を上回るおいしさにびっくりする。そういった感動を実現しようと、いろいろな新商品を試してきました。

 うどんから作ったパンやかりんとうなど、これまでトライしたものは多岐にわたります。その中で、これなら消費者の想像を超えられると感じたのが丸亀うどーなつだったのです。 

――どのような点で「うどーなつは想像を超えられる」と考えたのでしょうか。

南雲 まず大きいのは「うどんから生まれたドーナツ」というユニークさです。そして食べてみると、うどんならではのもちもち感があります。これは今までのドーナツにはない食感であり、丸亀製麺らしい感動体験になると考えました。

揚げたてのうどーなつ

 だからこそ、開発過程ではもちもちの食感を高めることにこだわりました。丸亀製麺社長の山口(山口寛氏)と商品開発者、私の3人で試作品を食べながら、「もっともちもちにしてほしい」と何度もリクエストしましたね。

――それほど、この食感が重要になると。

南雲 丸亀製麺のうどんから生まれたドーナツであれば、食感に魅力がなければなりません。なぜなら丸亀製麺は店内で製麺をしており、生のうどんの食感や弾力がお客さまに評価されてきました。それがわれわれの生命線であり“らしさ”になっています。だからこそ、うどーなつの食感ももちもちである必要がありました。それにより、うどんとのブリッジが生まれます。お互いの商品の相乗効果も期待できるでしょう。